池上彰解説、中間選挙後のアメリカが抱える課題 米中の狭間の日本は危うい立場になりかねない

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アメリカは、これから何を考え、どんな行動に出るのでしょうか(写真:melis82/PIXTA)
ロシアによるウクライナ侵攻に、台湾有事の可能性など、緊迫化している2022年。そんななか、重要なのが世界のリーダー・アメリカについて知ることです。
11月8日投開票の中間選挙は、共和党が下院で多数派を奪還し、ねじれ議会になるなど、国内の状況も混迷を極めている印象です。日本人の私たちが今、知っておくべきこととは?
池上彰さんの書籍『知ら恥ベストシリーズ2 知らないと恥をかくアメリカの大問題 不思議の国「アメリカ」、覇権国の黄昏』より一部抜粋・加筆してお届けします。

ペロシ台湾電撃訪問で、米中関係が緊迫化

2022年8月2日夜、アメリカ議会下院のナンシー・ペロシ議長が台湾を訪問しました。アメリカの「下院議長」というのは、大統領継承順位が副大統領に次いで第2位の大物です。これに対し、中国が激怒。すぐさま台湾周辺で大規模な軍事演習を実施しました。

アメリカは1979年、いまの中華人民共和国と正式に国交を結び、台湾とは断交しています。ただ直後に「台湾関係法」を制定することで、断交後も台湾を支える姿勢を示しました。しかし軍事的に関与するのかどうか、表現はあいまいなものでした。

今回、ロシアのウクライナ侵攻により、「台湾有事」の現実味が高まる中、台湾としては本当にアメリカが守ってくれるのか不安だったでしょう。ペロシ議長が訪台し、「台湾を見捨てません」と明確にすることで、世界に結束を見せつけた形です。

一方、中国政府は「台湾は中華人民共和国の一部である」と主張していますから、これはアメリカによる国内干渉になります。しかも、時期が最悪でした。

2022年秋に開かれる共産党大会で史上初の3期目を目指していた習近平国家主席にしてみたら、「アメリカに舐められているのでは」と批判されかねません。面子を潰されてしまいました。そもそも習近平が異例の3期目まで務めて成し遂げたいことは何かといえば、「台湾統一」なのです。米中とも軍事衝突は望んでいないはずですが、台湾問題は米中関係の大きなジレンマです。ジョー・バイデン大統領は中国とどう向き合っていくのか。

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