「悩みがある部下」を持つ上司ほど成功する理由 デキる上司が実践する「部下との距離の縮め方」
部下に嫌われており、このランクには当てはまらないという意見もあるかもしれません。しかし、私は「嫌い」という感情はポジションランクとは別だと考えています。
研修ではよく「好きの反対はなんですか?」と質問するのですが、好きの対義語は嫌いではなく、無関心です。嫌いという感情は、相手に関心があるという意味で、無関心より好きに近いのです。
部下から嫌われているとしても、頼られているところはあるはずです。「情報屋」として頼ってもらっているのか、「相談相手」として頼ってもらっているのか、同じ目標を持つ「同志」と思われているのか、「憧れ」ていて尊敬しているのか。なお、憧れていて尊敬しているけど嫌いということはよくあります。あなたを嫌う部下に対してもどのポジションランクか、改めて把握してみるとよいでしょう。
関係性をつくる「5つのステップ」
では具体的に関係性をよくするために、どんなアクションをすればよいのでしょうか。ポジションランクを上げていくためには、次の5つのステップがあります。今回のこのステップのうち、重要な2つのステップを紹介いたします。
ステップ1) ニコニコ愚痴を聞く
ステップ2) 困りごとを解消する
ステップ3) 役割を分担する
ステップ4) 期待を伝える
ステップ5) 共に喜び、共にくやしがる
関係性を強化する最初のステップは、「ニコニコ愚痴を聞く」です。それによって部下に、「愚痴を言っても許されるんだ」と認識してもらい、心理的安全性があると感じてもらうのです。
それと同時に、やはり目標を掲げる必要があります。とはいえ、やる気を失っている部下に、あれやこれやと働きかけても徒労に終わるでしょう。スルーされるか、うっとうしいと思われて目標アレルギーを発症させてしまうのがオチです。
しかしだからといって、目標を掲げないでいいわけではありません。目標を掲げずに関係性をつくろうとすると、部下のご機嫌とりをするスタンスに陥ります。
部下のネガティブな態度は、組織のパフォーマンスを下げる強烈なエネルギーを持っています。このすさまじいネガティブパワーに流されないようにするためには「目標」が必要なのです。
「じゃ、どうしようか?」
「どうすれば解決するかな」
こんなふうにニコニコと話を聞き、部下のネガティブな態度に流されることなく、ブレずに目標に向かいましょう。簡単なことではありませんが、このアプローチでうまくいくという見通しさえあれば、なんとかやれるイメージが湧きませんか?
そもそもやる気を失っている部下とコミュニケーションをとることは、精神的にきついことです。しかし、「目標ベースのコミュニケーション」をとれば道が開けると信じて、ぜひチャレンジしてみてください。きっと、少しずつ変化が見られるはずです。