高卒の離職率はなぜ高い?「理不尽ルール」の深刻 企業選択の時間が短すぎるという問題がある

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面接を受ける学生
高校生の就職活動は選択肢が少なく、旧態依然とした制度のままとなっています(写真:metamorworks/PIXTA)
かつて進学や就職は生徒の可能性を伸ばし未来を切り開くものであった。しかし現在は格差を固定化したり拡大させたりするものになっている。教育ジャーナリストの朝比奈なを氏は、非現実的な「夢追い型」の大学・専門学校に進学して貧困スパイラルを断てない現実や、旧態依然とした慣例がまかり通り離職率が高まる一因となっている高校生の就活といった、進路選択の問題を提起している。著書『進路格差 <つまずく生徒>の困難と支援に向き合う』より、置き去りにされる高校生と支援者の声をお届けする。

時代錯誤な高校生の就活ルール

就職支援教員を5年間務めた元公立高校校長のYさん(仮名)から、生徒の活動の様子、彼が気づいた高卒生の就職活動の問題点を聞くことができた。

校長退職後に就く仕事にはいくつかの選択肢があるが、Yさんが選んだのは公立高校での就職支援教員として週2日半生徒と向き合って勤務することだった。彼は、「これまで生徒の就職活動にはほとんど関わってこなかった罪滅ぼしのような気持ちもあった」と言う。

高校教員として進学校、生徒指導困難校、特別支援学校、大規模中学校などさまざまな学校で課題に取り組んできたYさんは、就職支援教員という仕事にも多くの課題を見つけ、その解決に向けて熱心に取り組んだ。

彼の勤務する県では、先の就職支援教員の配置が始められた2002年から同職が置かれた。すでに20年の歴史があるのだが、彼は勤務のスタート時点で失望を覚えたという。

その年に何人が赴任し、どこに誰が配置されたかを知らされず、また仕事内容等の説明はいっさいなかったのだ。辞令を出して「あとはお任せ」という感じで、せっかくの制度を活かそうとしない県の姿勢に憤りを感じたと言う。

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