過密業務に加え、アルバイトにしてはそうとうに重い責任だが、時給は最低賃金とほぼ同じ。マサミチさんは働き始めて3年目になる。募集要項には「昇給制度あり」とあったが、この間の時給アップは地域別最低賃金の改定に合わせた“昇給”にすぎない。「忙しさに見合った賃金とは思えないです」。
生活に影響する「強引な残業」
一方でマサミチさんにとって賃金以上にこたえるのは、毎回のように“残業”を頼まれることだという。マサミチさんのシフトは基本的に週末の土、日曜日。本来は夜9時か、10時までの勤務だが、人手が足りないため、退勤時刻を過ぎた後も必ずといっていいほどポップの取り換えや翌日の仕込みといった仕事を頼まれる。店舗を出るのが深夜0時を回ることも珍しくない。
マサミチさんの時給は先述したとおり最低賃金とほぼ同じ。月収は深夜の残業代込みで約10万円だという。ざっと計算すると、出勤のたびに12時間以上働いていることになる。大学生にとっては、残業代が支払われているからいいだろうという話にはならない。
「残業をするのが暗黙の了解になってしまっています。でも、腰が痛くなったり、結構体にこたえるんです。次の日に1限の授業があるときなど、起きられなかったこともあります」とマサミチさん。現在は店長をはじめとした社員との人間関係に恵まれていることがせめてもの救いだという。
マサミチさんは、このほかにもアルバイトの名札がフルネーム記載なのも個人情報の点から問題ではないかと指摘する。たしかにトイレのたびに社員の前での手洗いを強いられることも含め、女性アルバイトの中にはストレスを感じる人もいるだろう。
このまま泣き寝入りをするか、それとも別のアルバイトを探すか──。マサミチさんが選んだのは個人加入できるユニオンに入り、会社と話し合うことだった。
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