香港、金融センターの魅力減に報酬の高さで対抗 当局は中国本土との強力な結び付きの利点を強調

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

香港統制強化で資産家が資産をシンガポールに移転

富裕層

香港証券先物委員会(SFC)のデータによれば、香港で運用されている資産は2021年、わずか2%の伸びにとどまった。20年は21%増えていた。プライベートウェルス・銀行資産は6%減の10兆6000億香港ドル(約199兆円)。

中国政府の香港統制強化を懸念する中国人資産家を含め多くの人々が資産管理のオフィスをシンガポールに設置していることが香港の抱える問題の一端となっている。香港のバリュー・パートナーズ・グループ(恵理集団)の謝清海共同会長は9月のインタビューで、同社は「マネーを追いかけており」、人員採用とシンガポールへの移転を計画していると述べた。

陳茂波財政官(香港フィンテックウィーク、10月31日)Photographer:Bertha Wang/Bloomberg

KPMGが10月公表したリポートによれば、100万米ドル(約1億4700万円)以上の投資可能資産を持つ香港の富豪は21年に3.1%減り18万2000人。

それでもボストン・コンサルティング・グループは今年のリポートで、26年までに香港がスイスに代わって世界最大の国際金融センターとなり、3位がシンガポールとなる可能性があると予測している。

外為取引

国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界の外国為替取引に占める香港のシェアは8%から7%に低下。シンガポールは9%だ。香港のシェア低下は恐らく、今年前半の新型コロナ関連規制が「経済・金融市場活動を鈍らせた」ためだと調査は指摘している。

陳財政官はブログで、香港で世界のオフショア人民元決済の75%が処理されており、香港は主要な米ドル・人民元決済センターの強固な基盤を備えていると説明した。

次ページ最高責任者報酬はシンガポールと比べて香港6割高
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事