ゼネコンが中国で苦汁、アジア新天地にも障壁


東南アジア中心としたインフラ整備に活路

大和総研の齋藤尚登シニアエコノミストは「東部沿岸地域がコスト高となり、不動産開発の中心は内陸の中西部に移っている。ただこうした地域では投資回収の短期化を目的に、期限付きで工場をリースするケースも増えており、中国国内で施行できる工場など案件は限られる」と見る。大林組を除く大手ゼネコンは「今のところ事業を見直す考えはない」(鹿島幹部)と、撤退の動きはない。だが、現地で事業拡大を加速させる意欲には乏しい。

もともと突然の政策変更など政治的リスクなどが大きい中国には、日本のゼネコンは敬遠ぎみだった。こうした中、各社が新たな活路として期待を寄せるのが、政府主導でインフラ整備計画が進行しているベトナム、インドなどの新興国だ。

たとえば中国から撤退を表明した大林組。設立36年が経過した子会社のタイ大林は、建築分野中心に年商200億円弱で2番手グループの規模にまで育っている。王室からの工事を受注するなど現地資本の工事を多数手掛けた。4月1日には、現地社員から上り詰めた社長が大手ゼネコン初の外国人執行役員に就任する。本社役員への昇進の道があることを現地社員に示して、海外受注拡大の原動力として活躍を期待する意向がこの人事に込められた。このほか各社も、タイやシンガポールなどの現地拠点を活用した東南アジアでの水平展開を活発化させている。

ただ新天地での展開も楽観はできない。日本政府は海外の鉄道や道路、港湾・空港、エネルギー関連施設といったインフラ整備プロジェクトを、重工・重電メーカー中心の日本連合が一括で請け負う受注支援に力を入れている。ゼネコン各社も日本連合への参画に期待を寄せている。が、業界関係者の間では、地の利がないゼネコンの成算は低いというのが通説だ。

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