ワイン価格2倍に上げた醸造所が見た驚きの結果 イノベーションを促す企業がしていること

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ますます複雑化する社会において、正解のないイノベーションを生み出すために、企業に求められているのは、「成功」をマネジメントすることではなく、「失敗」をマネジメントすることです。

失敗のマネジメントが組織文化として根付いている企業と言えば、ブッキング・ドットコムが挙げられます。同社のCPO(最高製品責任者)であるデイビッド・ビシュマンズはこう語っています。

「CEOの皆さんに助言するとしたら、こう言います。大規模なテストの肝は技術ではありません。文化的な問題であり、それを丸ごと受け入れる必要があります」(ステファン・トムク「ビジネス実験を重ねる文化が企業を成功に導く」『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2020年6月号より)

実験でポジティブな結果が出る確率は1割

同社にとって実験は単なる戦術ではなく、もはや文化と呼べるほどに浸透し、組織のアイデンティティーを構成する一要素になっていることが窺えます。

実はブッキング・ドットコムで行われる実験のうち、ポジティブな結果が出る確率は、わずか10%。つまり残りの90%は失敗するのです。たくさん失敗しながらイノベーションを生み出し続ける同社は、「失敗」をマネジメントできる組織であると言えます。

ブッキング・ドットコムにおいて、失敗はお金を無駄にする過ちではなく、学びのチャンスと捉えられています。

実験の90%は失敗ですが、これは極めて健全な数字であり、失敗を前提に行動している証拠でもあります。仮に「うちの会社が行う実験は90%成功します」という企業があったら、それは科学的思考法が欠如した組織です。実験しなくてもわかることに無駄なお金と時間をかけているだけで、何の学びも得ることはできません。

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