「舞いあがれ!」絶賛子役⇒福原遥の絶妙リレー  あの「まいんちゃん」がNHK朝ドラで大人の俳優に

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「舞いあがれ!」の福原遥も神童的子役であった。小学1年生のときにデビューし、NHK教育テレビの「クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!」(2009年から2013年)で圧倒的な人気を誇った。だからいまだに彼女は「まいんちゃん」と呼ばれ親しまれている。

「おいしい料理でみんなハピハピハッピー」「みんなもつくってア・ラ・モード」というキメ台詞と仕草が問答無用にかわいかった福原遥は、「おひさま」(2011年)を見て朝ドラヒロインに憧れ、目指すようになった。そしてついに夢を叶えたとき、当時のスタッフにも喜んでもらえたそうだ(「CINEMAS+ MAGAZINE 」福原遥インタビューより)。

夢を叶えるヒロインという王道を福原本人が体現してみせたことで、夢を叶えるという、昨今ではいささか絵空事になりかかっている概念に真実味が増す。やっぱり夢を持ちたいよねという気持ちにさせてもらえそうである。

「努力と根性」が浮かんでくるような頑張り

夢を叶えると一口に言っても、容易なことでは決してない。たとえ天賦の才能があっても努力や運も不可欠である。福原遥の場合、天賦の才は抜群だ。代表作の「アイ!マイ!まいん!」はとても凝った番組で、アニメと実写の2パートに分かれていて、アニメは物語で、実写はお料理コーナー。福原遥はお料理コーナーで料理をやったり歌ったり踊ったり、アニメパートでは声もやっていた。

かなりの技能が必要とされるが、福原は笑顔でやりきって見える。この明るい笑顔のキープはなにより大変だ。そして清潔感も。毎回、料理の手順を学んで振り付け覚えて……とは相当重労働であろう。しかも左利きの彼女は料理のときは右を使っていたそうだ。努力と根性、いまどき、あまり聞かないワードが浮かんでくるような頑張りである。そのとき、いつかは「朝ドラ」と思っていたと思うとちょっとじんっとくるではないか。

朝ドラのオーディションは4回くらい受け、「舞いあがれ!」で2545人の応募者の中でついにヒロインの座を射止めた。その喜びはひとしおであろう。ドラマを見ていると、一挙手一投足に勝ち取ったこの役を大切に演じようという気持ちが伝わってくるようで、それが物語の飛行機に対する興味と愛情と重なって見える。

福原遥の魅力は、元気ハツラツしすぎないことだ。まいんちゃんのときは元気ハツラツだったけれど、大人になって、眉間の寄せ方が絶妙なのとウィスパーボイスでちょっとだけ憂いをにじませる。それによって、元気すぎて、その圧がまわりを疲れさせるようなことがなく、ほどよくホッとするのである。この繊細な仕上がりは、子役時代の積み重ねの賜物であろう。福原遥は、これからの子役が大人の俳優に脱皮していくときの、ロールモデルにもなりそうだ。(文中敬称略)

木俣 冬 コラムニスト

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きまた ふゆ / Fuyu Kimata

東京都生まれ。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。

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