原発被災地の「鉄道代替輸送」に足りないもの 帰還困難区域内の列車代行バスに乗ってみた

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途中での乗り降りもないので淡々と走り、竜田には8時15分定刻のところ、7時56分に着いてしまった。いわき方面水戸行きの普通電車に接続しており、一般の利用者は電車に乗り換えていく。

なぜ2往復しか設定されなかったのか?

代行バス区間を管轄するJR東日本水戸支社のプレスリリースによると、バスには空間線量計を置いており、実際に走行している地点での車内での空間線量と合わせ、1回通行するに当たっての被爆線量を測定しているとのこと。

常磐線代行バスの運転台に置かれた線量計

測定結果を知りたい利用者は乗務員に問い合わせを、というので、さっそく尋ねてみると、私が乗車したバスの被爆線量は「0.6μSv」とのことであった。他の人が尋ねている様子はなかったように思う。ちなみに竜田駅内の空間線量計は、0.156μSv/hを示していた。

なお、2014(平成26)年9月12日付けの、内閣府原子力対策本部原子力被災者生活支援チームによる、「帰還困難区域内等の国道6号及び県道36号の線量調査結果について」によると、帰還困難区域の道路上の車外の空間線量率は0.31~14.7μSv/h(平均値3.5μSv/h)。国道6号線避難指示区域の南端(楢葉町)から北端(南相馬市)までの42.5kmを40km/hで1回通行するにあたって、受ける被爆線量は1.2μSvとの数値が出ている。

バスは折返し、原ノ町行きは9時35分に竜田を発車。やはり30人ほどの客を乗せて出ていった。

田に到着し、折返し原ノ町行きとなる常磐線代行バス

東日本大震災以前、今回の代行バス区間を含むいわき~原ノ町間には特急「スーパーひたち」6往復と、普通列車16往復(他に区間運転の列車もあった)が設定されており、特急は広野、富岡、大野、双葉、浪江、小高に各数本ずつ停車していた。特急の利用者層のかなりの部分を原子力発電所およびその関連企業と、東京、仙台を行き来するビジネス客が占めていたことは想像に難くない。

原子力発電所が事故を起こした以上、そうしたビジネス客は消え、地域住民の生活も失われた。震災前のダイヤ設定を考えると、代行バスが2往復とは少なすぎるように思われるが、要するに、このバスは南相馬市あるいはそれ以北と、福島県浜通り地方の中心都市いわき市との間の需要に応じるもので、それを念頭にダイヤが組まれている。立ち入りや宿泊が制限されている地域の住民のための公共交通機関とは、まだなりえていない。

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