このため、今年日本動脈硬化学会から発表された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、新たに随時(非空腹時)の中性脂肪の診断基準値も作成され、新基準では空腹時150mg/dl以上、空腹時でないとき(随時採血)の中性脂肪が175mg/dl以上は高値であると設定された。
LDLコレステロールは食事の影響に加え、生まれつきの体質(コレステロールが遺伝的に高い)に左右されるが、中性脂肪は食事の影響が大きい。
中性脂肪を減らすには運動が必須
「中性脂肪は、魚を除く食材からの脂質、具体的には肉の脂身や菓子類に含まれる油、糖質、アルコールで上がりやすいことがわかっています。また、中性脂肪は体のエネルギー源なので、食べる量に対して運動が不足していれば、脂肪として蓄積されたままで消費されません。ですから、中性脂肪が高い人はたいてい肥満ですし、我々の肥満専門外来の肥満患者では、中性脂肪の値が高い方が多いです」(浅原さん)
幸いなことに、中性脂肪は脂質の中でも生活習慣の改善による成果が大きく出やすい。
「空腹時140~150mg/dl未満のグレーゾーンの人は生活習慣改善の取り組みを。空腹時150mg/dl以上の人はまず、医療機関を受診し、主治医と相談しながら治療に取り組みましょう」と浅原さん。
生活習慣の改善は内臓脂肪を減らすための方法と基本的には同じだ。食事は魚を中心に、動物性の脂質を減らす。菓子類などの間食、カップラーメンやカレーなどの油物をやめるなど。運動は1日8000歩以上のウォーキングで、確実に効果が得られる。
後編(下の関連記事参照)では、メタボリックシンドローム外来を開設している浅原さんが、内臓脂肪の問題に触れつつ、中性脂肪の撃退法のコツの詳細を解説する。
(関連記事:【内臓脂肪】専門外来の医師伝授、確実な撃退法)
(取材・文/狩生聖子)
名古屋大学環境医学研究所メタボ栄養科学研究部門特任教授
浅原哲子医師
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