なぜか心霊スポット化「北条滅亡の地」何がある? 約870人が自害したとされる「腹切りやぐら」の今

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鎌倉にある腹切りやぐら
鎌倉にある北条高時の「腹切りやぐら」(写真:タニヤン/PIXTA)
NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送で、源氏や平氏の歴史に注目が集まっています。伊豆国の小豪族から鎌倉幕府の実権を握るまでになった北条氏ですが、1333年に滅亡します。鎌倉にある北条氏滅亡の地はどんなところなのか、歴史学者の濱田浩一郎さんがリポートします。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、鎌倉幕府の第2代執権・北条義時を主人公にしています。幕府将軍をしのぐパワーを北条氏はつけていくことになるのですが、その北条氏であっても、滅亡のときはやってきます。後醍醐天皇の挙兵に端を発する元弘の乱(1331~1333年)によって、北条一族は滅びていくのです。 

上野国の御家人・新田義貞は鎌倉へ侵攻。幕府軍も奮戦しますが、押し返すことはできず、第14代執権である北条高時をはじめとした北条一族やその家臣たちは、東勝寺(北条氏の菩提寺。開基は北条泰時)に逃げ込み、そこで次々と自害して果てていく。

室町時代に成立した軍記物語『太平記』は、その数を約870人としています。すさまじい数です。軍記物特有の誇張はあるかもしれませんが、多くの人々が自害したことは事実でしょう。

心霊スポットとして知られる「腹切りやぐら」

鎌倉・東勝寺跡のすぐそば(北方)には、北条高時の「腹切りやぐら」と呼ばれるものがあります。やぐらとは、鎌倉やその周辺にみられる横穴式の墳墓のことです。

北条高時は『太平記』では、遊興にふける暗愚な当主として描かれています。北条高時の「腹切りやぐら」は、鎌倉駅から徒歩15分ばかりの山中にあります(鶴岡八幡宮の近くです)。

「腹切りやぐら」からは、骨壷や遺骨は見つかってはいないのですが、このやぐらは、鎌倉の心霊スポットとしても有名です(やぐらには、小さな五輪塔があり、花などが供えられています。後述する三浦一族を供養する三浦氏のやぐらも同様です)。

やぐらの近くを通ると気分が悪くなる人もいるとか、落武者の霊を見た人がいるとか、水を入れたコップをお供えすると、時とともに水がなくなるとか……真偽不明の情報がネット上では記載されています。

「腹切りやぐら」に参って、北条一族を追悼したい。そうした想いから先日、私は鎌倉を訪れたのですが、思わぬ事態に遭遇します。

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