泉・明石市長「政界引退」にネット民が落胆する訳 怒りの矛先がネット民に向く事はなかったが…

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泉氏の暴言やパワハラは、怒りを制御する「アンガーマネジメント」ができなかったことが根幹にあると伝えられているが、ツイッターに限っては、うまくコントロールできていた印象を受ける。

ネットコミュニティでは、売り言葉に買い言葉を際限なく繰り返す「レスバトル」が、しばしば見られる。しかし、これだけの投稿頻度ながら、泉氏のツイッター上では、さほど大きな事案が見られなかった。なぜだろうか。

ひとつ考えられるのは、字数ギリギリでの投稿が功を奏した可能性だ。筆者もよく、衝動的にツイートしたくなるが、140字ギリギリで完結させようとすると、細部の表現を工夫する必要があるため、その間に考えが整理されて、気持ちも落ち着く傾向がある。

ツイッターを始めた理由に「説明責任を果たす」ことを挙げていたのも大きいだろう。市議に対する暴言が行われた8日以降、引退表明した12日に、謝罪とともに「ツイート控えていましたが、説明責任を負っている立場ゆえ、再開します」と投稿するまで、泉氏のツイッターは沈黙し続けた。

「説明責任」が問われやすい政治家のSNS

公式サイトによると、泉氏は大学卒業後にNHKへ入局し、ディレクターとして活躍。「NHK 630ふくしま」と書かれた背景の前に座る、若かりし日の写真も掲載されている。NHKを辞した後は「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日)なども担当したという。メディアで報道に携わった経験からも、説明責任を果たすために「不確定情報は発言しない」といった、基本的な原則が身に付いていたのではないか。

くしくも昨今、確証のない情報に基づくSNS投稿が話題になっている。自民党の小林貴虎・三重県議会議員が10月2日、安倍晋三元首相の国葬をめぐり「反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ているという」とツイート。小林氏は、高市早苗・経済安保担当相の講演を根拠としたが、高市氏は7日の会見で「発言はなかったです」「そもそも大陸という言葉を私、使いません」(内閣府サイトより)などと回答した。

小林氏をめぐっては17日、県議会の議会運営委員会に辞職勧告決議案が提出され、19日に採決される見通しだ。発言そのものの有無は横に置くとしても、データの出典元は明らかになっていないままである。

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