旧統一教会に質問権行使で「河野氏」存在感増す訳 岸田首相にとっては「引くも地獄、進むも地獄」

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もう1人は、野党議員として霊感商法の問題に取り組んでいた菅野志桜里弁護士だ。菅野氏に検討会入りを打診すると、「私が入っていいの?」と驚いていたというが、これは菅野氏が持つ野党側とのパイプが生きることも念頭に置いたものだ。こうした人選を見れば、検討会が何を目指しているのかは明白だった。8月29日の初会合で河野氏はこう宣言した。

「場合によっては消費者庁の担当の枠を超え、政府に対して提言することになろうかと思いますが、境界を定めずにご自由にご議論いただきたいと思っております」

これに紀藤弁護士が呼応する。

「ここは今までの先例に捉われずに、消費者庁が(宗教法人の)解散命令を主導できるくらいの情報集のあり方や法務省との交渉のあり方は、検討しなければいけないと思っています」

「解散命令請求」も視野に入れた報告書を提出

こうして検討会は冒頭から、高額献金被害に対応できるような消費者契約法などの見直しとあわせて、旧統一教会に対する「解散命令請求」の是非を主要な論点に据えて始まることとなった。 

「(旧統一教会に関して)伝道、教化、献金要求行為などに組織的な違法が認められた裁判例が積みあがっているわけですし、(解散命令の)要件に該当すると考えるのが自然だと思います」(菅野氏)

週1回のペースで開かれた検討会は、紀藤氏や菅野氏のリードの下、大きな異論もなく進んだ。そして10月17日に提出された報告書では、いの一番に以下の提言が打ち出された。

「旧統一教会については、社会的に看過できない深刻な問題が指摘されているところ、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法第78条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある」

宗教法人法では解散命令の要件である「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」かどうか、所管庁の文部科学省が教団の業務や管理運営について報告を求め、質問する権利(質問権)がある。こうした調査の結果、要件に該当する疑いあると認められれば、文科省が裁判所に解散命令を請求して裁判所が最終判断するという段取りだ。

過去に文科省がこうした調査を行った事例はなく、検討会はこの姿勢を厳しく批判している。報告書は、政府に一気に解散命令請求は求めていないが、請求に向けて段取りを踏むことを求める内容となった。

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