旧統一教会に質問権行使で「河野氏」存在感増す訳 岸田首相にとっては「引くも地獄、進むも地獄」
報告書がなぜこのタイミングで提出されたのか。それは衆議院予算委員会の本格審議が、この日から始まるからにほかならない。前週には自民党の国対関係者が、こんな不安を口にしていた。
「検討会が解散命令請求に前向きな報告書を出せば、予算委員会で野党側が岸田首相と河野氏に同時に対応を尋ねてくる可能性がある。2人の姿勢が違うと国会は混乱するし、岸田政権の支持率にもさらに悪影響が出てくるかもしれない」
報告書は政府内の検討会から出てきたもので、岸田首相も無下にはできない。また世論の多くは、報告書の提言を支持するだろう。慎重姿勢のままでは批判が高まる可能性がある。そして前述したように、検討会メンバーの菅野氏は野党側とのパイプもある。野党側ともやりとりしながら、国会審議で岸田首相にプレッシャーを掛けることもできるのだ。
こうした状況で岸田首相は河野氏とも相談し、報告書が提出された直後、そして予算委員会の直前に、永岡文科相への調査の指示に踏み切った。支持率低下にあえぐ岸田首相に、選択肢はこれしかなかったと言っていい。
自民党内に渦巻く不満
岸田首相の判断について自民党内には歓迎する声も出ている。ベテラン議員の1人はこう話す。
「旧統一教会問題は解散命令までいかないと収束しないと思う。岸田さんは報告書を利用すればいいじゃないか。解散命令請求を出して、そのタイミングで山際大志郎経済再生担当大臣、萩生田光一政調会長に一旦けじめをつけさせれば、内閣支持率は急回復するよ」
一方で、自民党内には不満も渦巻いている。そして批判の矛先は河野氏の動きにも向かっている。ある安倍派議員は語る。
「旧統一教会は確かに悪質だけど、刑事事件には発展していない。民事訴訟の積み上げで解散命令まで行ってしまうと、ほかの宗教法人に与える影響が大きい。多額献金をさせている宗教法人なんていくらでもあるんだから。河野さんは国民受けのいいことはやるけど、本当にそれが自民党のためになるのか考えてない。絶対に首相にしたくないね」
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