ウクライナから予測できる近未来の「台湾有事」 日本が「戦場」になる日ははたして来るのか?
ならば台湾はどうか? アメリカ軍は台湾を助けるのか?
アメリカは中華人民共和国と国交を結ぶにあたり、台湾とは断交しています(1979)。日本はそれに先立って田中角栄首相が日中国交を樹立し、台湾とは断交しています(1972)。日米両国は中国共産党政権に気を使い、台湾の国家承認を取り消しました。承認していない国との軍事同盟はありえません。それ以前の問題として、日本は憲法上の制約があり、他国を軍事援助することができません。安倍政権下の平和安全法制(2015)で、ようやくアメリカ軍の後方支援が可能になったというレベルです。
台湾はウクライナ以上に孤立無縁なのです。
もう一度、日本人はビスマルクの言葉に学べ
ですから習近平が憂慮しているのは、台湾有事へのアメリカ軍の参戦ではありません。経済制裁を受けるのが怖い。しかしアメリカからの輸入をロシアに振り替えれば、解決できるかもしれない……と、習近平が考えたとき、これが台湾有事の青信号となるでしょう。
台湾が中国に併合され、東アジアの民主国家が一つ、消滅するとします。
西側諸国が、中国軍による現状変更を追認したとき、習近平から見たハードルはさらに下がって、今度は尖閣諸島が、さらには沖縄本島がそのターゲットになるでしょう。
「琉球王国はもともと日本ではない。明治政府によって日本に併合され、日米両軍の軍事占領下にある。中国は、琉球独立を支援する」などと、口実はいくらでも作れます。
在日アメリカ軍が中国との衝突を避けて沖縄から撤収する動きを見せれば、台湾と沖縄への同時侵攻も考えられるでしょう。
19世紀後半、ドイツ統一を成し遂げた鉄血宰相ビスマルクは、ベルリンを訪れた伊藤博文ら明治政府の代表団に、こう諭しました。
「世界各国は友好を唱えて外交を行っているように見えるが、それは表面上のこと。実態は弱肉強食である。大国は、利があれば国際法を守り、不利と見れば武力を用いる。あなた方も国際法を気にかけるより、富国強兵を行い、独立を全うせよ」
この言葉が普遍の真理を説いていると思うのは、私だけでしょうか?
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