【産業天気図・医薬品】三共と第一製薬が経営統合。『曇り』環境の下、国内製薬再編が本格化
国内製薬2位の三共が、6位の第一製薬と経営統合を発表した。10月に持ち株会社を設立し、07年4月に両社の医療用医薬品事業を合併する。
両社の連結売上高を単純合算すると9191億円。この4月に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生するアステラス製薬の9066億円をかわし、武田薬品工業に次ぐ2位に返り咲く。
製薬業界はアステラスに続き、10月には大日本製薬と住友製薬が合併する。この再編ラッシュの背景には外資系製薬会社との圧倒的な規模の差がある。製薬会社の収益源である医療用医薬品売り上げでは、首位のファイザーは461億ドル。実に国内首位である武田の約5倍にも達する。
外資系企業は既に1990年代後半から合併を繰り返して巨大化してきた経緯があり、日本で有望な薬を持つ製薬企業は当然買収の対象に入ってくるだろう。それを防ぐためには国内企業同士で手を組み、時価総額を高めるしか道はない。
個々に上位各社を見ると、業績は総じて順調。武田は高血圧治療薬プロプレスが牽引。三共は主力の高脂血症治療薬メバロチンが特許切れで苦戦気味だが、将来の成長原資である新薬の研究開発パイプラインは国内一充実している。山之内は排尿障害治療剤が好調、エーザイもアルツハイマー治療剤アリセプトが伸長している。
しかし、中堅以下の企業は多額の研究開発費を捻出できず新薬がなかなか出せない状況で、大手との差は広がるばかりだ。また大手といえども常に外資の買収危機に晒されており、安穏とはしていられない。こうした『曇り』環境の下、生き残りをかけてさらなる再編が進むことが予想される。
【藤尾明彦記者】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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