判明!謎のジャパニーズウイスキー「会長」の正体 ツイッターで話題のウイスキーを作るのは

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ツイッターでは、「ラベルの商品紹介が怪しい」「その言葉はそういう意味だが、そのニュアンスでは使わない」と日本語を母国語としない人が商品名やラベルの作成に関わったのではないかと類推する声や、「受け狙いで置いてもいいかと思ったけど8000円は高すぎる」との評価も。

販売元に問い合わせてみた

ラベルには、輸入商として、欧腾国际贸易(广东)有限公司との記載があり、中国広東省の会社が扱っているようだ。実際には、アジアユーロ・インターナショナル・ビバレッジ(Asiaeuro International Beverage)が手掛けた商品で、この会社の香港支店に電話すると、このウイスキーは山梨県韮崎市にある“自社”の醸造所で製造していると明らかにした。

ジャパニーズウイスキー、会長
「会長」のフルラインナップ、8年熟成や12年熟成ものも。アジアユーロ・インターナショナル・ビバレッジのホームページによると、同社はタイ飲料大手の子会社などの合弁のようだ(写真:アジアユーロ・インターナショナル・ビバレッジのサイトより)

香港やマレーシアなどの通販サイトでは、英語で「会長ウイスキーは、富士山の山麓で製造されている。素晴らしく滑らかなこのウイスキーは、雪を頂いた南アルプスの清らかな水を使って生み出された」と記載されている。

韮崎市には、山梨県甲州市に本社を置くサン.フーズの工場がある。同社は、酒類やみりんなどの調味料の製造販売、酒類の輸入・卸販売を手掛けている。この会社で「会長」が製造されているのではないかと目星を付け、ウイスキーの海外販売などに関して知りたいと本社に電話してみると、「そうした取材には応じておりません」と冷たい対応が返ってきた。

しかし、韮崎市役所によれば、中国企業が運営するウイスキーの醸造所は存在せず、「会長」を製造しているのはサン.フーズしかあり得ない。一度は断られたものの、最終確認するのは製造している当事者の答えを引き出すほかない。

再度電話してみると、別の担当者が出て、中国企業から委託されて「会長」を製造していることをあっさりと認めた。「会長」が韮崎市の自社工場で製造されているというのは、電話に出たアジアユーロ・インターナショナル・ビバレッジ担当者の誤解のようだ。

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