「車は減速」「暖房19度」仏節電対策の中身が過酷 ガス危機で始まる「寒くて暗い」省エネ生活
フランスの生活は例年より少し寒く感じるものになるだろう。暖房温度の上限は19度に引き下げられ、家庭やホテルのシャワーもいつもより冷たくなる。公共施設のトイレでは温水が出なくなり、光の都・パリではエッフェル塔の消灯時間も前倒しされる。
ロシアがウクライナ支援国への天然ガス供給停止に動く中、フランス政府は6日、1970年代の石油危機以来で最大の省エネ策を発表した。冬に向けてヨーロッパ全体で進められている取り組みの一環だ。
フランス流ウォームビズ
エマニュエル・マクロン大統領は、シャツとネクタイではなく、黒のタートルネックを着てフランスのテレビやツイッターに登場するようになった。いつもスーツで決めているブリュノ・ル・メール経済・財務相も、財務省ではおそらくセーターが必須になると語った。国民を納得させるために政府の最高幹部が行っているイメージキャンペーンである。
マクロン氏は国内のエネルギー消費量を2年で10%、最終的には2050年までに40%削減したいと考えている。秋になってロシアがヨーロッパ諸国へのガス供給を絞り始めると、同氏は「エネルギー節制」の新時代への備えを国民に呼びかけるようになった。
6日にパリで行われた閣僚9人による3時間の会議で詳細が示された50ページに及ぶ計画書には、市民や企業のライフスタイルを大きく変える施策が多数盛り込まれている。自動車の相乗り(ライドシェア)や自転車での移動を増やしたり、オフィスや商業ビルの照明を営業時間以外には完全に消したりする、といった内容だ。