博多大吉「生理でしんどい、を基本に考える」 高尾美穂医師と「生理」について語って見えたこと
大吉:セクハラやモラハラにあたる発言も、結局のところ男性が生理の痛みやしんどさをかなり低く見積もっているからでしょうね。もちろん、知らなければ何を言ってもいいというわけではないですけど。
高尾:加えてコミュニケーションの問題だと思うんです。たとえば、上司から「生理なのか」と突然言われたらびっくりする……でもそのあとに「無理するなよ」とつづくと印象が変わりますよね。日ごろから部下の体調を気遣っている上司なら「心配してくれているんだ」と受け取れるでしょう。声をかけるのが同僚たちがいる前なのか、ほかの人には聞こえないような場なのかでも違う。そもそもの人間関係が反映されているんですよ。
女性のつらさが男性に見えていない
大吉:その男性がふだんから女性をどう見ているのかにもよりますよね。〝オジサン〟たちには、女性は元気で活発で、でも我慢強いというイメージがもともとあって、ぼくら世代にもそれが刷り込まれている。それは彼らが「女性はそうあってほしい」と思っていて、その期待に応えるべく女性たちが努力してきた結果なんですけど、彼らにはその努力が見えない。だから女性がドンヨリと具合悪そうにしていると、ウワッて驚くんです。それで余計なことを言ってしまう……。
高尾:生理がつらくていろんなことをあきらめてきた女性はたくさんいますけど、それが見えていない。女性が見せないようにしてきたのもあると思います。
大吉:学生時代に水泳の授業に出られなかったとか、温泉旅行をキャンセルしたとか、そのレベルにとどまらないわけですよね。
高尾:そうですね、人生にかかわるケースもありますよ。仕事の選択の幅が狭まったとか、大事な試験の日に生理がきてしまって実力を発揮できなかったとか。根性や気合いではどうにもならないほどつらい人もいますからね。