和田秀樹「脳トレは認知症予防にならない理由」 認知症の進行を遅らせるためにできること

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延命ばかりがすべてではないですが、「認知症になったら安楽死させてほしい」「寝たきりになったら死んでしまいたい」というのは、あまりにも高齢者を差別する発言だといえるでしょう。

また、周囲が「生かすほうがかわいそうだ」「治療を控えたほうがいいのではないか」などと勝手に決めつけるのは、少し暴力的ではないかとすら感じます。ご自身の行く末はもちろん、親御さんの介護などで迷ったときは、ぜひ「認知症や寝たきりは決してかわいそうではない」ということを、忘れないでほしいと思います。

認知症でも活躍したレーガン大統領

昨今、認知症予防のさまざまなトレーニングが登場していますが、70代後半になると、8~10%の人が認知症にかかります。そして、80代以降は認知症の比率はどんどん増えていきます。85歳以上になればアルツハイマー型認知症の変化が脳に現れない人はいません。どんなに脳トレを行ったとしても、誰もが年齢を重ねるごとに、軽度の認知症になります。

なお、日本の認知症患者の6割を占めるのが、「アルツハイマー型認知症」です。アルツハイマー型認知症の特徴は、脳の神経細胞に老人斑や神経原線維変化が生じることです。脳内のβアミロイドが増えると、記憶をつかさどる海馬を中心に萎縮が目立つようになるとされています。「ついさっき何を食べたのか」「今日、誰に会ったのか」などの短期記憶に支障が出るようになり、知能も少しずつ低下していきます。

ただ、かなり認知症が進行しても、知的能力は残り続けるケースが多いです。たとえば、69歳でアメリカの大統領となったロナルド・レーガン元大統領は、退任の5年後に自身がアルツハイマー型認知症であることを公表しています。

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