安倍内閣は「カネまみれ」批判に反論できない 政党助成金制度は何のためにあるのか

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法には触れていないとしながらも大臣を辞任することを決断した西川氏によれば、「国会運営に支障が起きないよう」と辞任理由を説明する一方で、本当の理由は「孫から(腹黒いおじいちゃんには)運動会に来てほしくないといわれた」ことが辛かったからと、あくまでもやましいことではないとする情報も入る。

だが、これも同情を買うために考えられた言い訳ではないかと疑ってしまう。大体、寒い時期に運動会を開催するのだろうか。否、寒い時期に、運動会を想定して会話をする子供がいるとは考えにくい。

「ザル法」だから、結局は「もらい放題」

西川氏の大臣辞任劇のように、どうにかして被害を最小限度に食い止め、内閣崩壊につながらないよう細心の配慮をするが、永田町の「流行性感冒」は、とどまることを知らない。

西川氏に続き、同献金疑惑で望月義夫環境大臣、上川陽子法務大臣が続き、結末を見ないうちに、甘利明経済再生担当大臣、西川氏の後任の林芳正農水大臣、それから危惧した通りに安倍首相にと急速に広まる。与党だけではない。民主党の岡田克也代表、さらに小沢一郎氏の名前も出てくる。

キーワードは、「補助金交付会社からの献金」。

つまり、政治資金規正法では、「国の補助金交付が決まった会社から、交付決定通知の1年以内に政党や政治資金団体への寄付は禁じる」となっているが、その寄付が禁じられている会社から献金を受けていたという疑惑だ。

しかし、西川氏の説明によれば、献金はグループ会社からのものであり、違法性はないと説明する。安倍首相をはじめとする名前の挙がった他の議員についても、ほとんどが同様のケースだ。望月、上川両大臣は、地元静岡の会社からの献金だが、同社から静岡選出の複数の議員にも寄付の実態があり、地元議員に対し熱心な支援であることが伺える。

この法律の趣旨は、政治家の斡旋で補助金獲得をしてはならないというものと思われるが、おおよそ、そうとは取れない内容になっている。そもそも、「交付企業になったら献金できない」という法律があることを知る会社関係者はほとんど存在しない。したがって、補助金会社に認定されたことを政治家側にいちいち通知することもないだろうから、その情報が政治家側に伝わるのも難しい。

しかも、補助金の内容が「①試験研究②災害復旧③その他性質上利益を伴わないもの―といった場合は除外する」と規定されているが、適法か違法かの線引きの判断は、企業側には難しい。

さらに、「規定に違反してされる寄付であると知りながら受け取ってはいけない」(同法より解説)とあるが、逆から解説すると、補助金会社であることを知らずに寄付を受けた場合はおとがめなしということだ。

「補助金会社のような関係でもなければ、何の関係もない会社が献金するわけがない」と説明してくれた親しい議員がいたが、そんなことは想像がつく。それを禁じる法律でポーズは取ってみたものの、「ザル法」だから、結局はもらい放題だ。

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