「人望がない人」は、大体"話しすぎ"ている

職場で、どうすれば人はついてくる?

おもしろい人は、当たり前の中におもしろさを見つける

禅の言葉に「喫茶去(きっさこ)」という教えがあります。お茶を召し上がれ、お茶を差し出すこと、嫌いな人にも1杯のお茶を差し出せる余裕―という意味です。

自分とは相いれない考え方に対して、どう対応するかは難しいものです。苦しくなるのは、自分の意見に同意させようとするからではないでしょうか。しかしお茶を差し出す余裕とは、違うということを肯定していると思うのです。自分と違う考え方、違う意見があって当然ととらえる心は、コミュニケーションに幅を持たせます。

一緒にお仕事をさせていただいたおふたりからも、そのことを学びました。「あまちゃん」では、小泉今日子さん。「となりのシムラ」では志村けんさんです。

吉田氏が監督を務める「となりのシムラ」の台本

芸能界でとても長い間、第一線で活躍し続ける、子供の頃からテレビで見ていた人たちです。緊張しまくりでした。ふたりはキャラクターは懸け離れていますが、共通している部分も多く、たとえば、イイものはイイ、ダメなものはダメと、はっきりおっしゃいます。で、その理由が、自分の好みの話をされているのではなく、視聴者に伝わらない、番組の本質からずれているといった、俯瞰した視点なのです。

「となりシムラ」でのことです。マンションの理事長になりたくない住民がそれを押し付けあう「理事長決め」というコントがありました。作家の実体験を基にしたもので、僕はすごく気に入っていました。しかし会議で志村さんが、それを体験している人は少なすぎるし、理事長の役割がどんなものか説明がいる、とダメ出しをされました。

僕はそれでも粘りました。志村さんには、代わりに居酒屋を舞台にした新しいコントを作ってほしいと言われました。正直言えば、居酒屋のコントなんてありふれている、片やマンションの理事長を決めるコントなんてみたことない、こっちのほうが新しいのに!という思いを抱えながらも、渋々了承しました。

居酒屋のコントは若手の作家の案を基に「一人飲み」という内容になりました。ひとりで飲みたいサラリーマンが、気のいい大将によって、いろんな人を紹介されて、ひとりで飲むことを邪魔されるが、ほんとにキレてひとりになると、きれいなOLが現れて、だけど大将は気を遣い遠ざける。男は寂しくひとりで飲むという内容です。

誰もが共感でき、しかもひねりが効いてて、結局、「一人飲み」は、オープニングタイトル明け一発目という重要なところに置くコントとなりました。

このコントは非常に成功しました。もし僕の案どおり「理事長決め」にしていたら……、背筋がぞっとします。

ちなみに志村さんと小泉さんのおふたりに共通するのは、異常なほど台本を読み込むことです。これだけのキャリアのある方々が、ドラマの1シーン、コントの1場面も、少しもおろそかにしない姿勢には、尊敬と畏怖を覚えます。

次ページまずは相手に「与える」姿勢から
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