「人望がない人」は、大体"話しすぎ"ている 職場で、どうすれば人はついてくる?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

あるとき、ある高名なカメラマンから「もっと人を信じたら」と言われ、以降、できるだけ怒鳴らないようにしました。でも我慢しているだけでは足りなかったのです。我慢とは、僕自身は何も変わってない状況です。結局、無意識下で相手にプレッシャーを与え続けているわけです。それを思い知ったのはその後にかかわる「あまちゃん」での経験があったからです。

チームのトップでなくなって、気づいたこと

「あまちゃん」はドラマです。なぜコントを作っていた僕が起用されたかというと、同期のドラマの監督が誘ってくれたからです。NHKは横の人事的な行き来がとても少ない組織です。朝ドラをバラエティのディレクターがやるなんて、前代未聞でした。同期の勇気に感謝です。

で、「あまちゃん」が始まるわけですが、これまでと大きく違うのは番組の規模がでかい。監督(ドラマになるとこうよばれる)が複数人。基本、物事の決定権はプロデューサーとチーフ監督にある。「サラリーマンNEO」では、僕が重要事項のすべてを決めていたわけですから、この違いは大きいものでした。

「あまちゃん」の現場でもスタッフは僕の立場を考慮してくれ、尊重してくれたのですが、それでもスタッフや役者は、僕よりもっと上の立場であるチーフのほうを見ているわけです。正直、40歳超えてからのこの状況は、かなりつらいものがありました

とはいえ立場は立場ですから、じゃあもう、この際、自分のコミュニケーションを見つめなおしてみようと考えました。具体的に何をしたかというと、ミーハーな僕はスティーブ・ジョブズ氏から影響を受けて始めた「禅」を取り入れたのです。

禅を始めてから、自己をコントロールすることに興味を持ちました。そこでカメラマンの方に言われた「人を信じたら」という言葉を思い出しました。そこで「あまちゃん」では、人に耳を傾けるコミュニケーションで仕事をしてみようと取り組みました。

その一例が「末端スタッフに声をかける」というものです。たとえば、これだけ大きな番組になると、衣装さんだけでも3人ぐらいいます。通常ならチーフに話せば大体のことは済みます。だけどそれだと、どうしても役割が邪魔して、仕事の話に終始しがちです。

その点、末端のスタッフだと、もっとプライベートの悩みなども含めてしゃべりやすいわけです。そこで仕入れたネタ、たとえば最近チーフが彼氏のためにオムライスを作って失敗したらしい、みたいな話を仕入れて、打ち合わせの最初に発言するわけです。すると笑いが起きます。親近感も湧きます。

リーダーとしてのおもしろさとは、いかに全員に目配せできているかだと思います。言い換えれば、参加している人に、あなたは私にとって重要ですよと伝えることです。すると参加している人は、仕事がおもしろく感じ始めます。みんな仕事に誇りを持ちたいわけです。

次ページ自分アピールしすぎる人たち
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事