東洋経済オンラインとは
ライフ

船橋屋、罵声動画拡散よりもきつい「最大の痛恨」 217年の老舗のブランド以上に傷ついたもの

8分で読める
  • 城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

後継社長に感じる「船橋屋への愛」

佐藤氏は、新卒で船橋屋に入社した、たたき上げの社員だ。創業家の、渡辺氏と立ち位置は違えど、老舗企業再建の立役者として、メディアに登場する機会も多い。各社記事を読むと、職人かたぎで旧態依然の企業体質だった入社当初を振り返る場面も多々あり、船橋屋が変わりゆく姿をつぶさに見てきたようだ。採用担当者時代に、ブログに挑戦した張本人だというから、ウェブ戦略の礎を作ったと言ってもいいだろう。

船橋屋の公式note(ブログ)にも8月、佐藤氏へのインタビューが掲載されていた。就職活動中に船橋屋を全店めぐって、レポートにまとめたエピソードから、歴史好きが高じて、社史を調べに国立国会図書館へ通っているなど、端々から「船橋屋への愛」が見受けられる。

「217年の歴史を紐解くために、当主を一代ずつ調べていくと、それぞれが船橋屋の暖簾を守ってきた理由や経緯が段々と分かってくるんです。皆で繋いできた船橋屋をきちんと残していきたいと強く思いますね」
「『文献から新たな歴史を見つける』これを繰り返していくと、しっかり船橋屋の歴史を次世代に残していくことができると思います」

これらの発言を読むと、まるで2カ月後の未来を予見していたかのようだ。自分たちは、あくまで歴史の一部でしか過ぎず、後世へバトンをつなぐのが責務だという、確固たる決意が示されている。

9月30日に公式サイトに掲載された、代表取締役就任あいさつでも「歴史」に触れている。

「217年の歴史に敬愛を持ちつつも、その歴史に甘んじず、心機一転、コンプライアンスを見直し、新体制の構築をして参ります」

不祥事もまた、歴史のひとつ。歴史の重みを誰よりも感じていたのが、創業家ではなく、新卒たたき上げの人物だったのが皮肉だが、歴史とSNS感覚をあわせ持つ新社長であれば、真の意味で「歴史づくり」が期待できるのではないか。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数