船橋屋、罵声動画拡散よりもきつい「最大の痛恨」 217年の老舗のブランド以上に傷ついたもの
船橋屋とは、そもそもどんな会社か。公式サイトによると、創業は文化2年(1805年)、東京・亀戸天神のそばに、初代・勘助氏が開いたのが始まりだった。雅司氏は8代目にあたる。土地勘がある人だと「亀戸なのに、なぜ船橋?」と思われるだろうが、初代の出身地が、千葉の船橋なんだそうだ。小麦粉のでんぷん質を、乳酸菌で発酵させた「くず餅」をメインに、和菓子商品を販売している。
200年以上の歴史が揺らぐ「大炎上」。しかしながら、拡散から数日間の動きを見ていると、従業員300人規模の企業としては珍しいほど、しっかりと対応しているように見受けられる。不祥事が発覚してからの「初動の早さ」と「適時の報告」、そして平時からの「消費者との関係性」、これらが十分満たされているのだ。
まずは公式サイトの発表文と掲載日、それぞれの概要をみてみよう。
「無関係な企業と弊社従業員へのインターネット上の書き込みについて」(28日、執行役員で29日に社長に就任した佐藤恭子氏)
「代表取締役社長・渡辺雅司の辞任に関して」(28日)
「代表取締役社長の辞任に関するお知らせ」(29日)
「代表取締役社長選任のお知らせ」(30日)
第一報で事故・現場対応の事実を認め、続いて「今回の事態の責任は、弊社代表取締役社長・渡辺雅司にございます」として、従業員や類似名称の企業への誹謗中傷や問い合わせを控えるよう呼びかける。その後、渡辺氏から辞任の申し出があったと伝え、翌日の取締役会で受理した旨を報告。そして新社長選任を発表——。
中小企業では人的リソースや、ノウハウなどの関係で、対応が後手後手に回るケースが多々あるが、こと今回の事案は、迅速かつ的確に行われている印象を受ける。
背景には卓越した「SNS発信力」
他の老舗和菓子メーカーと比べて、船橋屋が持っている特徴が、SNSでの発信力だ。ツイッターは10月1日時点で7.8万フォロワー。9月27日以降は公式サイトのプレスリリースをシェアする類いの形式的な投稿ばかりだが、前日までは商品写真や、ゆるい口調のつぶやきばかりだった。
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