店先も吹っ飛んだ「米最悪級ハリケーン」の恐怖 最悪のシナリオは回避したが家屋倒壊、停電も
しかし、内陸部の被災者の多くは、この嵐を最悪のシナリオが回避されたものと考えていた。
フロリダ州中央部に位置するポーク郡の緊急管理責任者ポール・ウォンブルは、予想された竜巻が発生せず、負傷者の報告もなかったことに触れ、「ありきたりですが、私たちは幸運でした」と語った。タンパ湾の東に位置する同郡では、まずハリケーンがまっすぐ向かってくるような大災害に備え、次に嵐が南下するにつれて2フィートの雨が降り、すでに増水していたピース川が大波に見舞われることを想定していた。
だが、郡の南端を襲った頃には、ハリケーンはかなり勢力を失っており、損害は、ウォンブルに言わせると、ほとんどが停電、一面を覆う瓦礫や枝、折れた電柱に限られていた。その撤去はかなりのものだろうと彼は言ったが、2017年のハリケーン・イルマはおそらく、さらに破壊的だったことがわかるだろう。
過去ほどの洪水には見舞われなかった
バートウの小さな町で、半世紀ポーク郡に住んでいるピート・ミランダは安心してはいたものの、依然として震えていた。
打撃は受けたけれどもまだ使うことのできるトレーラーハウスの駐車場にある自分の家の近くで枝をかき集めていたミランダは、「うわ、なんてひどかったんだ」と言った。「ハリケーンはまるで女のように自分に向かって口笛を吹いいた」と彼は言った。「いや、誤解しないで。すごく恐ろしかったんだよ」。
イアンが依然として勢いを保ちつつも、いくぶん軽減されてカテゴリー3のハリケーンとなって通過した場所では、湾岸から少し入った内陸部の風景が混乱してはいたものの、荒れ果ててはいなかった。
嵐が通り過ぎた北部では、人々が屋根やポーチから巨大な瓦礫の塊を撤去するのに忙しかった一方で、家屋自体はほとんど被害を受けなかった。いくつかの町の低地区域――地方当局が言うにはチャーリーとイルマ、さらには最近のひどいハリケーンで定期的な浸水があった場所 ――では再び洪水が発生したが、過去に発生した時ほど大規模なものではなかった。
しかし、フォート・マイヤーズに近づくにつれ、被害の報告はより悲惨なものになっていった。2004年のハリケーン・チャーリーで壊滅的な被害を受けた地方、ハーディー郡の大部分は29日に浸水し、保安官事務所はフェイスブックの投稿で、水位はまだ上昇していると述べた。「捜索と救助活動はまだ進行中だ 」と投稿には書かれていた。「もうすぐ暗くなる 」と。