中小企業「補助金もらってDX化」甘すぎる2大理由 長い目でコストを考えず、安易に始める残念さ

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さらに、パソコン操作に抵抗がない人。「業務に精通しているエクセルの達人」というような人がいるなら、そういう方をノーコーダーに育てるのがいいと思います。

理想を言えば、ノーコーダーは各部署に1人ずつ配置したいものです。それぞれの部署の業務をよくわかっている人をノーコーダーにすることで、各部署で実現したいことや課題が解決しやすくなるからです。

次の図のマトリックスで考えてみましょう。縦軸は「当事者意識」、横軸は「デジタル知識・技術」です。

ノーコードグラフ
出所:『デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門』

①はデジタル知識や技術力も高くて、会社をもっとよくしていきたいという当事者意識の高い人材です。このような人材はめったにいませんが、もしもいてくれたら大変な幸運です。大切にして、活躍の場を広げてあげましょう。また、万が一にもそういう人材が応募してくれることがあれば、迷わず採用したいところです。

②はデジタルの知識や技術はあるが、当事者意識が低い、あるいは致命的に欠けている人です。これが、実は結構多い。デジタル知識をひけらかして、評論家のようになるケースもあります。

先日も、ある取引先とのデジタルシステムを導入するかどうかの検討会議で、横文字を多用して説明をした担当者が、社長に向かって「あとは経営判断ですね」と言い放っている場面に遭遇しました。

自分の会社にこのシステムが必要かどうかを担当者として真剣に考えているのであれば、絶対にそのような言葉は出てこないと思います。こういう人材は一見貢献してくれそうですが、自分事として「DXで会社を変えていく」と考えることには向いていません。

期待したいのが、③のデジタル知識や技術はそれほど高くないけれど、当事者意識の高い人です。大切なのは、デジタルの能力ではなく、自社をよくしたいという強い思いなのです。

プログラムを書く場合には、それなりの勉強やセンス、向き不向きもあるとは思います。ですが、ノーコードは、その気にさえなれば、一から勉強してもすぐに習得可能です。ノーコードツールは、そもそもプログラミングができず、ITの素人でも、システムを作ることができるようにと生まれたものです。

次ページ大切なのは「自社をよりよくしたい」という思い
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