反EUの「英国独立党」、誰が支持しているのか 党大会開催の海岸の町で市民に聞く

UKIPの結党は1993年。EUの創設を決めたマーストリヒト条約に反対する数人が形成した「反連邦リーグ」がその前身だ。EU脱退は当時からつい最近まで政界主流からは想定外の選択肢とされ、長い間、UKIPは存在自体が「冗談」とさえ見られていた。
しかし、国内に脈々と存在するEU懐疑派の支持を受けて、UKIPは5年ごとに行われる欧州議会選挙に候補者を出し、少しずつ足場を築くようになっていった。
UKIPの党大会が開催されたウインター・ガーデンズ劇場で、ティム・エイカース欧州議会議員(MEP)の宣伝資料を並べていた党員に声をかけてみた。「EUから脱退するべきだと考えているのに、そのEUの議会に議席を持つとは、おかしいのではないか」。
党員は「確かに奇妙に響くだろうね」と苦笑い。「しかし、EU内で何が起きているかを国民に伝えるのが目的だ。最終的には国民が脱退を支持することを願っている」。
「EUの指図は受けたくない!」

隣には「UKIP青年部」の旗と机が置かれていた。机の後ろに座っていたのが学生ベン・ウオーカー氏だ。党員全体は約4万人だが、青年部には「3000人ぐらい所属している」という。「自分たちで自分の運命を決めたい。EUの指図を受けたくない。だから党員になった」。
最近のUKIPをテーマにした番組の話になり、「メディアはUKIPに対して偏見があると思う?」と聞いてみる。「あると思う。それには理由がある。階級の問題だ」。
英国は労働者階級(大雑把なわけ方だが、単純労働者、ブルーカラー・ワーカー)、中流階級(ホワイトカラー、高等教育を受けている比率が高い)、上流(貴族、地主階級)という階級差の名残がある社会だ。
「UKIPには労働者階級の支持者が多い。一方、主要政党の指導部や知識層、メディアで働く人は中流階級だ。エリート層や知識層はより国際的だ。移民の流入についても寛容だ。階級間の対立が『偏見』の背景にある」。
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