「トレカ市場」がまったく衰えない納得の理由 2021年は約1800億円と過去最高の市場規模を記録
そして、デュエル・マスターズ自身もデジタルへ進出。2019年にDeNAと共同開発したスマホアプリ「デュエル・マスターズプレイス」を投入した。ルールを簡単にして、新規ユーザーが入りやすくしたり、プレイスで初登場したカードを紙でも販売したりして、紙のカードにも関心を持ってもらう仕掛けをつくった。
紙のゲームは対面のコミュニケーションだが、デジタルのゲームは時間を選ばず1人で遊べることから、カードゲームでも楽しみ方が違う。デジタル化を追い風にして、紙との共存状態をつくれている。
デュエルマスターズ以外にも遊戯王が、「遊戯王マスターデュエル」など複数のDCGを展開しており、DCGの「シャドウバース」が紙のカードを販売するなど、多くの企業がデジタルとアナログのカードでシナジーを図っている。
コレクション性が高まり「交換市場」も旺盛
好調が続くもう1つの理由はコレクション性だ。
デュエル・マスターズは2021年発売の商品からコレクション性をより意識した作りにした。カードの光り方の違いなどでデザインの差異をつけている。各社ともカードデザインに工夫を凝らし、しのぎを削っている。また、トレーディングカードの主要商品は「拡張パック」と呼ばれる中身がわからないもの。これがコレクション欲を増す要因にもなっている。
コレクション性の高まりから流通市場も活発だ。コレクター向けのトレカフリマアプリ「magi」を運営するジラフは、2022年9月の月間流通額は4億円にのぼる。同社の麻生輝明CEOは、「コロナ禍でトレカ収集の趣味が広がった。取引額も全体的に上昇傾向にある」と話す。
国内のカードゲームやトレーディングカード市場は「ポケモンカードゲーム」「遊戯王OCG」「デュエル・マスターズTCG」の3強が君臨する。
だが、ここにもう1つの強者が足を踏み入れた。ワンピースが2022年7月から「ワンピースカードゲーム」の販売を始めたのだ。一方、デュエル・マスターズはユーザー年齢層の広がりやコレクション性の高まりにも対応し、6年ぶりにシリーズを一新。9月からは漫画・アニメも開始した。
「厳しい競争環境の中で、各タイトルともユーザーをより喜ばせようと取り組んでおり、新たなカードデザインがでてきたという情報は毎日何かしら入ってくる。そこがカードゲームが盛んな原動力になっているのでないか」(原氏)タイトルごとの競争はより激しくなりそうだが、紙とデジタルのほか、さまざまなメディア展開で市場の拡大はなお続きそうだ。
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