ミクシィがFC東京や英国パブ「HUB」と組んだ真意 「スポーツ観戦文化」を日本で広げられるか
7月末の土曜日――。東京・吉祥寺駅から程近い英国風パブ「HUB」は、夕方から多くの人でにぎわっていた。店内は青と赤のFC東京カラーに染まり、多くのサポーターが夜7時にキックオフを予定している「FC東京対サンフレッチェ広島」を心待ちにしていた。
試合開始前、ある人物が店内に姿を現した。かつてFC東京やアビスパ福岡で活躍した中村北斗氏だ。試合が始まるとサポーターが座るテーブルを回り、談笑しながら観戦したほか、ハーフタイムには同氏への質問コーナーを開催。試合終了後にはサポーターたちと記念撮影を行うなど大いに盛り上がった。
多角化を推進するミクシィ
このイベントを仕掛けたのがIT大手のミクシィだ。同社はSNS「mixi」で一世を風靡。2013年に開始したスマホゲーム「モンスターストライク」が大ヒットし、今なお業績を牽引する。
ミクシィはそのモンストに次ぐ柱を模索している真っ只中だ。スマホアプリ「家族アルバム みてね」などを展開するライフスタイル事業をはじめ、オンラインベッティングアプリ「TIPSTAR」の公営競技事業など多角化を推進している。
その中の1つが冒頭の事例に代表されるようなスポーツ観戦事業だ。近年、ミクシィはこの事業を強化すべく、さまざまな手を打ってきた。2019年にはバスケットボールBリーグに所属する「千葉ジェッツふなばし」を子会社化。2021年にはJリーグのFC東京を傘下に収めた。
同時に、スポーツコンテンツを楽しむためのプラットフォームの確立も進めてきた。2021年3月には英国風パブを運営するハブに対し、ミクシィが大半を出資するファンドから総額約15.5億円を出資。20%の株式を取得し、実質的に筆頭株主となった。店内のスポーツ観戦に強みを持つハブと手を組むことで、相乗効果を狙ったのだ。こうした一連の投資が冒頭のようなイベントの開催にもつながっている。
そして、これらを“1つの線”につなぐべく、ミクシィが2021年4月に開始したのが、検索サービス「Fansta(ファンスタ)」だ。スポーツ観戦できる飲食店を、エリアだけではなく放映予定でも検索できるのがファンスタの強み。対象となるスポーツイベントはJリーグの通常試合とACL(アジア・チャンピオンズリーグ)で、ファンスタを導入する店舗は通常、月1万円を支払うことで、検索サービスに掲載してもらう。
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