仮面ライダー「大人向け商品」が徐々に広がる事情 2万~3万円する変身ベルトが売れる理由とは

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CSMのオーズドライバー
大人向けの仮面ライダー変身ベルト「コンプリートセレクションモディフィケーション」のオーズドライバー。BGM機能を搭載するなど当時を楽しめるような作りになっている(写真:© 石森プロ・東映)

2023年3月、仮面ライダー50周年を記念した映画『シン・仮面ライダー』が公開を予定している。仮面ライダーといえば、多くの子どもがあこがれるヒーローだ。一方、この映画は2016年に公開された『シン・ゴジラ』の総監督、庵野秀明氏が脚本・監督を務め、大人が見ても楽しめる作品になることが期待されている。

こうした「大人が楽しむ」という動きは近年、玩具にも顕著に表れている。バンダイは2013年から、大人を対象とした仮面ライダーの変身ベルト「コンプリートセレクションモディフィケーション(以下CSM)」の販売を開始した。

通常、子ども向けの商品が6000円台なのに対し、大人向け変身ベルトは2万~3万円台とかなり高価だ。その分造りが精巧で、赤外線センサーや無線通信など通常の玩具では使用しない機能も搭載。子供向け玩具では再現できない映像作品中の演出をさまざまな機能で再現するのがウリとなっている。

購入層の中心は、子供のころ仮面ライダーのファンだった20代前半の男性だ。商品点数も増加しており、詳細な数字は未公表ながら、足元の売り上げは2013年~2015年の6倍ほどに成長しているという。

かつては細々と開発していた

実は、2013年のCSMの販売に先駆けて、2000年代に大人向け変身ベルトを販売したことがあった。「ファンの裾野が広がっていたので、変身ベルトのほうも裾野を広げていってより精巧なベルトを作っていくのはどうかと考えたのが2004年だった」。CSMの開発担当者はそう語る。

当時テレビ放映は「仮面ライダークウガ」(2000〜2001年放送)など、平成仮面ライダーシリーズがスタートしていたが、作風が大人向けになっていき中高生や大人にもファンが増えていった。そして、平成ライダーシリーズ4作目の「仮面ライダー555(ファイズ)」(2003~2004年放送)は、携帯電話で変身するシリーズだったがその仕様が子どものみならず大人にも受けた。

視聴した大人が、子供向けの変身ベルトを買うという現象も起きたこともあり、大人向け変身ベルトの販売を開始。3万円台で数点発売したが、当時は一部の玩具専門店しか取り扱わず、細々と展開を行っているすぎなかった。子供のベルト開発にリソースを集中するため、一時開発をストップしていた時期もある。

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