テレ東「深夜ドラマ」プロデューサーが語る仕事論 「取り残されたジャンルに果敢に攻めていける」

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(写真:玉井美世子)

今は自分の“フェーズ1”が終わったところかな

── 入社してからやりたかったことはどのくらいできていますか。

祖父江:うーん、やりたいことってだんだん変わってきますよね。自分の初期衝動で作れるドラマはひと通り作った気はしているんですよ。そういう意味では、自分の“フェーズ1”が終わって、この先はどうしようかなと思っているところかな。この夏は「次は何をしようかな」ってずっと考えていたんですが、ぼんやりとしたワードがいくつか出てくるけど、まだ固まってはいないです。

── ご自身の転換の時期を感じている、と。

祖父江:私も年を重ねる中で、成長なり劣化なりして、見たいものも変わっていると思うんです。今、38歳になったところで、この先たぶん結婚とか出産っていうことに目が向かなくなってくるだろうし。

近頃のコンテンツには、マスから溢れてしまった感性みたいなものを拾い上げる風潮が出てきたと感じています。それはこの大サブスク時代の影響だと思いますけど。今までは視聴率競争からこぼれるものは正義ではないとされていて、だから若い・可愛い・キレイ・強いみたいのが正義だったんですが、小さくて面白い作品みたいなのが、地上波で成立しなくても配信で成立するようになってきてる。

それから、一般の方々のSNSなどがクリエイティブの現場になってる空気も感じますね。

── ただ、何人ものプロのフィルターを通って世に出すものと個人で発信するものは違いますよね。

祖父江:関わる人が多い分、より責任を感じます。もし、私個人で作って発信するなら何か失敗しても自分が謝ればいいですが、テレビ局として作っているものはそうはいきません。エンタメである以上、誰も傷つかないなんて無理だとは思うんですけど、世に出したものが誰かを傷つけることがないように努めることが、最大の違いじゃないかな。

吉田羊と國村隼が父娘を演じ、家族の愛憎を描いた『生きるとか死ぬとか父親とか』(写真:©「生きるとか死ぬとか父親とか」製作委員会)
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