テレ東「深夜ドラマ」プロデューサーが語る仕事論 「取り残されたジャンルに果敢に攻めていける」
── 祖父江さんが見たい基準はどこにありますか。
祖父江:「私が見たいってことは、他にも見たい人がいるだろう」という根拠のない自信かな。来世ちゃん(『来世ではちゃんとします』)という作品は、自分で企画して手掛けて世に送り出した最初の作品ですが、主人公が性に奔放な、これまでにいないタイプのヒロインなんですね。
公開前は、こんな主人公を見たい人がいるだろうかという気持ちもありましたが、私はそれが凄く見たかった。でも、公開されたら「こういうのが見たかった」という女性からの反響が多かった。それから“私が見たいってことは、他にも見たい人がいるでしょう”という姿勢に変えたら、意外と私のスタイルにハマったんです。
視聴者に伝えたいのは「あなたは悪くない」ってこと
── 祖父江さんは、ドラマを通して視聴者にどんなことを伝えたいですか。
祖父江:ざっくり言ってしまえば「あなたは悪くない」だけなんですよね。先ほど「少数派の人たちに寄り添い〜」といっていただきましたが、それこそマイノリティとは単純にLGBTだけじゃないと思っています。
来世ちゃんの主人公もそうですが、「こんなことを考えている私はおかしいのだろうか」とか「ちょっと私って、人と違うかもしれない」って悩んでる人は、内容は違えどたくさんいるはずで。そういうことに注目して作品を作ることによって、悩んでいる人が「私、このままでいいんだ」って思ってくれたら、凄くうれしいですね。
── 『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』の主人公も、いそうでいなそうな女性でしたね。
祖父江:あれはマッチングアプリが盛り上がってきた頃に作らせてもらったんですが、興味はあるけど、怖くてできない人に向けて、背中を押すつもりで世に出したんです。だってあの頃の30代はきっと、マッチングアプリに抵抗がある世代だと思うので。