テレ東「深夜ドラマ」プロデューサーが語る仕事論 「取り残されたジャンルに果敢に攻めていける」
── 主人公はすごいピッチでマッチングしていましたし、“ヤリモク”の男性についてもリアルに描かれていましたね。
祖父江:あの作品はマッチングアプリが肉体関係目的ばかりではないことを伝えつつ、でも一方で、女性がヤリモクでアプリを使って何が悪いのってことも伝えています。“タブーの解放”って言ったら大袈裟ですけれども、抑圧されている女性の感覚に「そんな考え方は古いし、あなたがやりたいんだったらやったらいいじゃない」ってことを伝えたいです。
スタッフに苦労をかける分、面白い現場作りを
── 祖父江さんは、『来世ではちゃんとします』や、『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』のように、これまではあまりドラマで焦点が当てられてこなかったヒロインを描いていますね。これはテレビ東京だからこそできるということもあるんでしょうか。
祖父江:うち(テレビ東京)は深夜ドラマが多いのも特徴のひとつで、だからこそ挑戦的な作品ができるとは思います。ゴールデンタイムって時間が浅いから過激なことができないというだけじゃなく、作品の図体も大きいんですよね。お金もかかるし、多くの人や組織が関わったり、著名な俳優さんが出演していると、いろんな制約も出てくる。テレビ東京には深夜帯の小規模な作品が多いので、小回りが効くと言いますか、取り残されたジャンルに果敢に攻めていけると思っています。
── 小回りが効くというと、予算も小さいわけですよね。制作する上で苦労があるんじゃないかと思うのですが……。
祖父江:めちゃくちゃ苦労しかないですよ(笑)! ロケはお金がかかるので、ラブコメなのに「店舗を使ってのデート撮影は禁止です」ってこともありました(笑)。
── ええっ(笑)。そんな苦労があるんですね。
祖父江:はい。その時は、家や公園とかで撮りました。心苦しいのはスタッフに苦労をかけることですね。私たちにできることは誠実に作品に向き合って、視聴者だけでなく、参加したスタッフにも俳優にも「面白かったね」と思ってもらえるような作品作り・現場作りをすることだと思っています。