国際鉄道展「イノトランス」開幕、注目の裏テーマ 環境対策や新技術よりも関係者が知りたい問題

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日立やJR東日本系の総合車両製作所は変わらず出展するが、これまでイノトランスの常連だった川崎重工業、東芝などのメーカーや2018年から出展を始めたJR東海などの姿がない。「申し込みを行うのは1年前。その時点でコロナ禍の動向を見通すのは難しかったと思う」と、あるメーカーの担当者が説明してくれた。

環境性能は重要テーマだが…

今回の注目ポイントは何か。

地球温暖化を食い止めるため、日本を含む多くの国が2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出量をゼロにすると宣言している。その実現のための有効な手段として期待されているのが鉄道である。鉄道はもともとほかの交通モードと比べ旅客1人当たりのCO2排出量が少ないが、決してゼロではない。それだけに、さらに環境性能を高めるための車両開発が続けられている。

ドイツや欧州の交通系企業で構成されるドイツ交通フォーラムのハイケ・ヴァン・ホールン代表は、「鉄道は古い交通手段ではない。モダンでとても洗練された交通手段だ」と話す。今回、会場に並んだ鉄道車両の大半が最新技術を駆使して環境性能を高めた通勤列車や機関車だ。

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会場で目立つのは環境性能に配慮した新型車両だ(記者撮影)

2016年頃までのイノトランスでは、今にも走り出しそうな時速350km級の高速列車が会場のいちばん目立つ場所にでんと構えて注目を集めていた。今回はドイツ鉄道が新型のICE Lや「アドバンスト・トレイン・ラボ」という実験車両を出展しているので高速車両はゼロではないが、従来と比べると影は薄い。時代の移り変わりを感じさせる。

環境性能を重視した車両がずらりとそろったものの、「環境重視はイノトランス自体がテーマとしているだけに目新しさはない」とある鉄道メーカーの幹部は話す。むしろ、4年ぶりの開催となったことで、「日進月歩のIoTを活用した鉄道技術が、4年間でどこまで進化したかに関心がある」という。

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