国際鉄道展「イノトランス」開幕、注目の裏テーマ 環境対策や新技術よりも関係者が知りたい問題
「イノトランスが帰ってきました」――。ドイツのベルリンで2年に1度開催される国際鉄道見本市「イノトランス」は、世界中の鉄道関係者が集結する世界最大の鉄道イベントだ。2020年は新型コロナウイルスの世界的な流行の影響で翌年に延期。ところが2021年もコロナ禍の蔓延が収まらず開催できなかった。
「2度の延期を経て、4年ぶりに開催します」。今回のイノトランスの会期は9月20~23日の4日間。開催前日の19日、会場となるメッセベルリンで記者会見が行われ、マーティン・エクニングCEOが世界各国の報道関係者を前に高らかに宣言した。
出展企業は前回よりやや減少
会場に鉄道の引き込み線があり、本物の列車が持ち込まれるのがイノトランスの最大の特徴だ。シーメンスにアルストム、さらには業績好調で大手の一角にのし上がった日立製作所など多くの鉄道車両メーカーがこの会場で新型車両のお披露目を行う。
屋内のブースでは各社が開発した最新技術のオンパレード。「イノトランスは業界のトレンドを知るパラメーターであり、ますます重要な存在となっている」(エクニングCEO)。各国の鉄道会社の幹部がこぞって視察にやってくる。広い会場のあちこちでメーカー、鉄道会社、さらに政府関係者が情報交換を行っている。
ただ、今回はいつもと様相が違う。「2018年と同じレベルの規模」とエクニングCEOは胸を張るが、実際にはほんの少しだけ規模が小さい。2018年は61カ国から3062の企業や団体が出展したが、今回は56カ国、2834の企業、団体にとどまる。車両展示の数も155から124に減った。コロナ禍の余波で出展を見合わせた企業や団体が少なくないのだ。
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