「送迎バス園児死亡」どんな法的責任が問われるか 去年同様の事件も、民事責任は重くなる傾向

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(1)子どもの欠席連絡等の出欠状況に関する情報について、保護者への速やかな確認及び職員間における情報共有を徹底すること (2)登園時や散歩等の園外活動の前後等、場面の切り替わりにおける子どもの人数確認について、ダブルチェックの体制をとる等して徹底すること (3)送迎バスを運行する場合においては、事故防止に努める観点から、「運転を担当する職員の他に子どもの対応ができる職員の同乗を求めることが望ましいこと」、「子どもの乗車時及び降車時に座席や人数の確認を実施し、その内容を職員間で共有すること」等に留意いただくこと (4)各幼稚園等においては、「学校安全計画」「危機管理マニュアル」について、適宜見直し、必要に応じて改定すること

この通知が出されたからといって量刑が極端に重くなるとは考えにくいですが、同種事件が起きておらず同通知が出されていない場合よりも過失の程度が重いと判断され、量刑が若干重くなることはあり得ると思います。

「民事責任は重くなる傾向にある」

――民事責任についてはどうでしょうか。

園長(場合によっては担当した職員など)のほか、運営主体である学校法人も損害賠償責任を負うことが考えられます。

基本的な枠組みは自動車事故を参考としますが、前述のような通知が出されているにもかかわらず体制に不備があったことは、逸脱具合に応じて増額事由に当たりそうです。

幼い命はその分将来の可能性が大きいですので、ご遺族の苦痛を慰謝するための慰謝料は高額になり、逸失利益も高額になる可能性があります。

ただ、保育施設は基本的に保険に入っているはずです。保険の内容にもよりますが、ある程度の部分は保険で対応できると思います。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

保育施設の事故は、重大なものであっても刑事責任は限定的になることが多いです。他方、民事責任は重くなる傾向にあります。

もちろん、これらは法的な責任の話です。他の児童にどう説明するか、再発防止のために何をすべきかなど、園には考えるべきこと、やらなければならないことがたくさんあります。

二度とこのような事故が起きないよう、他の施設でも上記通知の周知徹底が図られ対策が取られることを願うばかりです。

神尾 尊礼(かみお たかひろ)弁護士弁護士法人ルミナス法律事務所
東京大学法学部・法科大学院卒。2007年弁護士登録。埼玉弁護士会。刑事事件から家事事件、一般民事事件や企業法務まで幅広く担当し、「何かあったら何でもとりあえず相談できる」弁護士を目指している。

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