文化庁が宗教法人と交わした「裏約束」の正体 統一教会・名称変更文書「黒塗り」の根本原因

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――開示請求しても何も出てこない理由がわかりました。

自民党が公明党と連立を組んでいる間は開示されないと思う。

1999年の自民党と公明党の連立工作をしたのも与謝野さんだった。すでに都議会では自民党と公明党が組んでいた。都議会の公明党議員だった藤井富雄さんと自民党東京都連の与謝野さんが中心になって、国政レベルでの自公連立を実現させた。つまりこの時期、自公連立に向けて文部省と創価学会の関係が非常に大事だった。

宗務課長になったとき、与謝野さんに挨拶に行ったら「とにかく創価学会とは仲よくしてくれ」と言われた。先ほど言ったように、宗教法人法改正をめぐって文部省と創価学会は抜き差しならない対立関係になっていた。文部省としては創価学会に敵対心はない。その誤解を解くために、宗教法人法改正で提出が義務付けられた書類は一切出さないと約束した。

情報公開法以外でも宗教関係者に根回しする一環として、信濃町の創価学会本部に何度か足を運んで説明した。創価学会の秋谷栄之助前会長とも1回か2回、赤坂の料亭で与謝野さんと一緒に食事をしたことがある。

提出された書類は見たことがない

――自公連立を見越していい関係を築いていたということですね。

そうだ。与謝野さんからの秘密指令を受けて、とにかく仲よくした。「雨が降ろうと槍が降ろうと、自民党の大物政治家が文句を言ってきても、提出された書類は絶対に出しません」と。そうやって創価学会・公明党から信用してもらった。

――オウム事件を受けた宗教法人法改正は、文化庁が宗教法人の最低限の実態把握をするためのものでした。国民にはそう言いながら、宗教団体に対しては配慮をしていたと。

二枚舌だと言われればそうかもしれない。

――提出された書類をチェックする人はいるのでしょうか。

担当者はいる。収支計算書や財産目録の体をなしているかという最低限のチェックはするんだけど、それ以上のことはしない。宗務課長の私も一度も見たことがない。金庫に入れてしまってある。

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井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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