損失100億、シャインマスカット「中国流出」の痛恨 中国の栽培面積は日本の30倍、逆輸入の危機も
「香港の取引先から、中国産の『晴王』がコンテナで運ばれているのを見たと教えてもらった。梱包用の段ボール箱まで、本物の晴王を入れているのと同じJA岡山のロゴがプリントされているものだったので、一見して本物と区別がつかない」
シャインマスカットの代表的なブランドである「晴王」を出荷するJA全農おかやま(全国農業協同組合連合会岡山県本部)では、担当者が頭を抱える。
中国の栽培面積は日本の30倍
糖度が高く皮ごと食べられる手軽さから、高い人気を誇るシャインマスカット。価格は1パックで2000円前後から1万円を超える高級品もあり、贈答品としての需要も高い。
このシャインマスカットは、実は日本発祥だ。農産物の品種開発などを担う農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)が33年をかけて生み出したもので、山梨、長野、岡山、山形県などが産地として知られている。
ところが、この種苗が無断で中国や韓国に持ち出されて現地で栽培され、安価な「海賊版」として第三国にまで出荷される事態になっている。農林水産省の試算では、中国におけるシャインマスカットの栽培面積は、2020年時点で日本の30倍にあたる5万3000ヘクタールにも及んでいる。
中国産のシャインマスカットには、「シャイン」を音で表現した「香印翡翠」(シャンインフェイツィ)や「香印晴王」(シャンインチンワン)といった名称がつけられている。
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