成績確認は、「明らかに担当教員の誤りであると思われるもののみ申請することができます」と説明があるだけでなく「制度の趣旨から逸脱した内容の申請が多く見受けられます。みなさんの節度ある行動を求めます」という注釈もある。
それでも、コロナで受けられなかった授業の補講が受けられないことに納得がいかず、6月19日に申請をした。その4日後に結果が示された。
「不可」であることに変わりはなかったが、「成績訂正」があるという。「不可の範囲内での点数変更だった場合は、成績表の評価は変わらず、平均点のみ変更されます」という説明もあった。そこで、成績発表時の平均点と新たな平均点を比較したところ、基礎生命科学実験で「17点」が減点された計算になっていた。
「取り違え」は「適正な修正」なのか
この減点について、東大教養学部は7月27日、杉浦さんに「教養学部として評価の精査を行っています。その結果として、成績が下がっていることについても適正な修正であることを確認しています」などする回答をメールで送った。減点理由の説明はなく、「成績確認申請により成績評価が下がるケースがあることは、『履修の手引き』にてお知らせしているとおり」と、問答無用の対応だった。
ところが、8月4日に杉浦さんが記者会見をすると、マスコミ各社の取材に東大は減点の理由について「ほかの学生と成績評価を取り違えていた」と、杉浦さんが知らない説明をした。
森山工・教養学部長は杉浦さんの弁護士にあてた8月8日付の文書で「杉浦さんが欠席した5月17日の回において、杉浦さんの実際の成績より17点高いほかの学生の評点が入力されていて」などと取り違えについて説明した。さらに、成績の下方修正について「今回のように詳細を説明する取り扱いにはなっていません」。担当教官に質問することも「今後いっさいやめていただくようお願いいたします」と、成績評価について学生は説明を求めることもできない運用であることが書いてある。
杉浦さん側がさらに成績取り違えについての説明を求めると、森山学部長は、成績の取り違えについて、「最初に判明したのは6月18日の夕刻になります。学務システムへの入力(杉浦さんの評点の減点と他の学生の評点の加点)は判明してから直ちに行われました」と文書(8月16日付)で回答した。
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