プーチンが示した「長期戦覚悟」の明らかなサイン いきなりの「兵員大幅増強」命令が意味すること

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ただ軍事アナリストからは、国民を勧誘して強引に志願させる試みをすでに行っているロシア軍が、大規模な徴兵を行うことなく、ここまで大幅に兵員を増やせるのか、といった疑問も上がっている。

ウクライナでの戦争が来冬、あるいはそれ以上に長く続く可能性は大いにある。ウクライナ東部および南部でのロシアの攻撃ペースは落ちているが、両国は交渉や妥協に応じる構えを一切見せていない。ウクライナ国家安全保障会議の高官は先日、この戦争で最も過酷な時期はこれから訪れることになるかもしれない、と警告した。

ロシア国防省は軍事活動のペースを落としたという発表を行っているが、西側の軍事アナリストによると、これは何週間と軍事的な成果を上げられていない状況についてロシア政府が何らかの説明を行わなければならなくなった状況を映し出している。

現実には、ロシアは今もウクライナの各地で激しい砲撃を続けているからだ。24日にはウクライナ東部の駅がミサイル攻撃され、二十数人が死亡した。ロシアは2014年にクリミア半島を強制併合したときと同様に、占領地域で近く偽りの住民投票を実施する可能性があるとアメリカ当局は警告している。併合や親ロシア派の実効支配によって、ロシアへの帰属が正当なものであるかのように見せかける手法だ。

戦闘激化、動員拡大を求める極右の声

プーチン氏は8月に入り、ロシア軍はウクライナ東部を「解放しつつある」と述べたが、戦争を支持する評論家らは、さらに多くの国民や資源を動員し、攻撃を強めるようプーチン氏に求めてきた。

戦闘強化を求める声は、極右の評論家ダリア・ドゥーギナ氏がモスクワ郊外で車を爆破されて殺害されたことや、ウクライナ軍が前線から遠く離れたクリミア半島で破壊工作やドローン攻撃を行ったことを受けて、一段と強まっている。

より積極的な軍事行動を求める声と、作戦は計画通りに進んでいると主張して譲らないロシア政府。こうした状況の中でアナリストらは、プーチン氏の次の一手を見極めるのに苦慮している。プーチン氏は軍事活動をさらに激化させるのか、現在のペースを保つのか、それとも終戦の道を模索するつもりなのか——。

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