かつては"気動車王国"、四国の今昔「名車列伝」 非電化の国鉄時代から現在の振り子列車まで
最後に、私鉄についても触れておこう。四国最初の鉄道は冒頭でも記した通り、1888年10月28日に松山(市)―三津間で開業した伊予鉄道であり、四国の鉄道の歴史と私鉄は切っても切り離せない。
当時の伊予鉄道の列車は夏目漱石の小説『坊っちゃん』の主人公が乗ったことから「坊ちゃん列車」の名で有名になった。小さな機関車と復元されたマッチ箱のような小型客車は鉄道記念物と県文化財に指定され、伊予鉄沿線の梅津寺公園で展示されている。2001年からは伊予鉄の市内線(路面電車)で、外観を再現したディーゼルエンジン駆動の列車が走っており、観光の名物として親しまれている。
「ことでん」「とでん」が活躍
香川の私鉄といえば「ことでん」の愛称で親しまれる高松琴平電気鉄道だ。現在は琴平線・長尾線・志度線の3路線があるが、もともとはそれぞれ別の鉄道会社で戦時中に統合された。最初に開業したのは現在の志度線にあたる路線で、1911年に東讃電気軌道によって今橋―志度(現・琴電志度)間が開通。その後長尾線を敷設した高松電気軌道、琴平線を敷設した琴平電鉄と1943年に合併して高松琴平電気鉄道となった。
松山とともに路面電車が活躍するのが高知だ。その歴史は古く、土佐電気鉄道により1904年5月に最初の区間が開業した。地元では「土電」(とでん)と呼ばれる同鉄道は、2014年10月にバス会社の高知県交通と経営統合し、「とさでん交通株式会社」となった。「とでん」の愛称はそのまま変わらないネーミングである。
このほか、四国霊場第85番札所・八栗寺へのケーブルカー、八栗ケーブルでは東海道新幹線開業の年に日立製作所で製造されたレトロなデザインの車両が今も健在である。そして、第三セクターの阿佐海岸鉄道では2021年12月から鉄道・道路の両方を走れるDMV(デュアル・モード・ビークル)が運行開始した。四国を含め全国でローカル線が厳しい状況にある中、DMV登場は明るい話題であろう。
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