実は特別支援学校の予選参加には前例がある。鹿児島県立鹿児島高等特別支援学校が2016年から鹿児島県大会に出場しているのだ。
顧問は「前任者が申請して許可されました。部員は4人、今年は志學館・鹿児島修学館と連合チームを組んで鹿児島高専と7月10日に対戦し0-10で負けました。うちからは1人が出場しました。2016年から途切れずに出場しているので、もう当たり前ですね。野球がしたいからと当校を受験する生徒もいます。野球部員は、就職後も礼儀正しいとか評判もいいんです。校内では、お手本になろうと言っています」と語る。
必要なのはダイバーシティ
「甲子園夢プロジェクト」の久保田教諭は鹿児島高等特別支援学校とも連絡を取り合っている。個別に出場した鹿児島だが、愛知とともに「知的障碍者に野球を」という取り組みに加わりつつある。筆者は競技人口の減少が止まらない日本野球界にとって必要なのは「ダイバーシティ(多様性)」だと思う。野球がうまい人だけの、エリート校だけの、勝利を追い求めるチームだけの野球をつづければ、そうでない人は野球から離れてしまう。
世の中には選択肢がたくさんあるのだから。紹介してきたように、障碍者の野球参加は、受け入れる健常者にも「学び」がある。勝ち負けを超えたところで、野球の未来につながる希望があるのではないか。
林龍之介君は卒業後、身体障碍者の軟式野球チームに参加することになった。「これからも野球を続けていくことができそうで嬉しいです。僕は試合に出たのはこれが初めてでしたが、これからは試合でもいいところを見せたいです」。
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