なぜウクライナで代理出産?選んだ日本人の葛藤 すでに60人以上の子が誕生、エージェントも複数存在

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代理出産で生まれた子ども
ウクライナのキーウで代理出産によって生まれた子たち(写真:Anadolu Agency via Getty Images)
夫婦ともに子どもがほしいと願っても、妻の体に何らかの原因があって出産が不可能とわかった場合、第三者の女性に産んでもらう「代理出産」。倫理面での課題から禁止する国が多い中、合法化した数少ない国にウクライナがある。世界中のカップルから依頼があり、生まれる子どもは年間約2000人と言われる。
日本にもあっせんするエージェントが複数存在し、その話を総合するとウクライナで生まれた日本人の子どもは60人以上いる。ただ、新型コロナウイルスの世界的流行に加え、ウクライナがロシアの軍事侵攻を受けたことで依頼者がウクライナに入国することが難しくなり、生まれた子どもを引き取ることが困難な状況となっている。
ウクライナでの「代理出産」をめぐって何が起きているのか。最新の状況を取材した。

受精卵を凍結させてウクライナの代理母に移植

「私が代理出産しようか」

母親のその言葉に心が揺れたと、関東地方に住む30代の女性charさん(ハンドルネーム)は言う。先天性心疾患のため、自身での妊娠・出産は危険だと医師に宣告されていた。しかし、子どもを諦めきれない。そんなとき、母親が代理出産を申し出たのだという。

母親は、長野県の産婦人科クリニックで代理出産が行われていたことをニュースで知っていた。医学的理由のため出産できない娘の代わりに、その母親が娘夫婦の子ども(孫)を出産したという話だ。ところが、このクリニックはその後、代理出産をしなくなっていた。

何か方法はないだろうかと、charさんがネットで調べ続けていると、ウクライナでの代理出産をあっせんするエージェントが見つかった。「わが子を授かることができるかもしれないことがうれしく、明るい希望の光が見えました」とcharさんは話す。

代理出産を日本産科婦人科学会は認めていないため、charさん夫妻は代理出産を前提に妻の卵子と夫の精子で受精卵を作るよう医療機関に頼んでも、何度も門前払いされていた。

その扉を開いてくれたのも、エージェントである。紹介された医療機関が受精卵を作ってくれ、凍結させてウクライナに送った。同国の代理母に移植して2021年1月、息子が生まれた。誕生の知らせを聞き、夫婦と妻の母親の3人でウクライナのキーウに渡り、生後4日目のわが子と対面した。

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