なぜウクライナで代理出産?選んだ日本人の葛藤 すでに60人以上の子が誕生、エージェントも複数存在

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キーウに本社を置く有限責任会社(LLC)「ベイビーフォー・ユー」も2017年から日本向け事業を展開している。

同社ホームページによると、今年8月4日までにウクライナで56人が生まれたという。4月のフェイスブックへの投稿では、「半数近くの代理母さんが無事ポーランドに避難」した一方、半数はウクライナにとどまり、「ロシア軍の占領下にいて避難が不可能」と記されている。7月には「戦争開始から出産予定だった12人が無事に誕生した」と投稿した。

ロシアのウクライナ侵攻で代理母事業は混乱

特定非営利活動法人「エンジェルバンク」(東京)は2017~2018年、ウクライナでの代理出産をあっせんし、「数組」が子どもを得たとしている。

ただ、ウクライナでの事業はこの2年間のみ。同国から撤退したのは、日本から移動時間が長いことや、依頼者がほかの国での代理出産を希望し、ウクライナを選ぶ割合が低くなったことなどが理由だという。政情が不安定なため「依頼者に責任が持てないと判断した」ことも影響している。

実際、ロシアのウクライナ侵攻で、同国の代理母事業は大きく混乱しているようだ。しかし、平時だったとしてもウクライナをはじめとする外国での代理出産はいくつもの問題を抱えている。

後編ではそうした問題を掘り上げていく。

後編:日本も無視できぬ「ウクライナ代理出産」深刻問題

森本 修代 元新聞記者

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もりもと のぶよ / Nobuyo Morimoto

1969年熊本県生まれ。静岡県立大学在学中にフィリピン・クラブを取材して執筆した『ハーフ・フィリピーナ』(潮出版社、1996年)で第15回潮賞ノンフィクション部門優秀作。1993年熊本日日新聞社入社、社会部、宇土支局、編集本部、文化生活部などを経て2022年5月退社。著書に『赤ちゃんポストの真実』(小学館)。

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