なぜウクライナで代理出産?選んだ日本人の葛藤 すでに60人以上の子が誕生、エージェントも複数存在

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charさんは「代理母には感謝しきれないほど感謝しています」と話す。charさん夫婦がキーウに到着したとき、代理母はすでに退院しており、会うことはなかった。代理母に関しては名前、住所、血液型、家族構成、出産回数を知らされている程度という。日本からのお土産は業者に頼んで送付してもらった。

「子どもに出自をいつ、どう伝えるかはまだ悩んでいます。『待ち望んだ子どもだった』ということは伝えたい。代理出産に批判的な意見があることも承知しています。私たちも悩んで悩んでここまで来た。決して軽い気持ちで足を踏み入れたのではないことをわかってほしいと思います」

ウクライナでは商業的代理出産は合法だ。受精卵を調べて男女どちらを移植するか決めることも認められている。一部の州で認められているアメリカでの代理出産より「費用は3分の1程度」とされ、世界中から依頼が集まった。

「1人でも多くの方を幸せにしたい」「最先端の医療をきめ細かなサポートでご提供する」……。ネットで検索すると、ウクライナでの代理出産を仲介する複数のエージェントに行き当たる。

そうしたエージェント各社に筆者が取材し、代理出産の実情や実績などを把握していったところ、代理出産の仕組みを使ってウクライナで生まれた日本人の子どもは60人以上になることがわかった。

エージェントの活動内容とは?

では、各エージェントはどんな活動をしているのだろうか。

株式会社「メディブリッジ」(東京)は2017年からウクライナでの代理出産を手掛けており、これまでに日本人夫婦の依頼で11人が生まれたという。ロシアによる軍事侵攻が始まったときに妊娠していた代理母もいた。

同社は「代理母には国外脱出をお願いしたが、本人の意思で国内にとどまった。その後、無事に子どもが生まれ、現地のエージェントなど多くの方の協力で国境まで連れてきてもらい、全員無事に依頼夫婦が引き取ることができた」という。

ウクライナ戦争によって現在は代理出産のあっせんはできなくなっているが、「状況が落ち着いたら再開したい。この方法でなければ子どもを授かることのできない夫婦が一定数いる」(同社)。

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