彼女もまた、今回の危機に際しての日本政府の対応に大いに失望する1人だ。
「日本は感染者が少ないということで、海外メディアから称賛されました。マスクをつけて危機に対応した日本、と。マスクをつけることは日本らしさの象徴として取り上げられました。しかし、マスクはいいとして、ほかにはどんな対策が行われたでしょうか? 私はお酒とバーや居酒屋が非難されるのを見ました。風俗嬢が非難されるのを見ました。外国人が非難されるのを見ました。どれもスケープゴートです」
マッケンディさんはさらにこう続ける。
「日本では新型コロナがおとぎ話の怪物に仕立て上げられました。『私たちはとてもいい人間で、清潔で、マスクをしているから、怪物はやってこない』というようなことを政治家たちが国民に語ってきたのです。ほかにも、今回は日本人の文化水準の高さについて語られています。こうなると必ず外国人恐怖症が紛れ込みます。だから私は思い詰めているのです」
マスク着用は「美徳シグナリング」
ショーン・ブレヒトさんも、日本におけるマスク着用には、ある種の「美徳シグナリング(自分が正しい行為をしていることを人に示す行動)」のようなものがあると感じている。
55歳の写真家であるブレヒトさんはこう語る。「多くの日本人は、会社で当たり前のようにマスクをつけています。けれども、夜になれば友人何人かと集まって、4人がけのブースに10人すし詰めになって、酒を飲みながら一晩中大声で笑い、話し続けます。日本では、このルールが採用された理由と、生活のあらゆる場面に取り入れる方法を立ち止まって問うよりも、形式が先に立っているように感じられます」
「どっちつかずの対策というのが、この国の政府が取れる唯一の手なのだと思います」と彼は説明する。
「しかし、どっちつかずの対策では、避けられない事態を少し遅らせるだけだと私は思います。だから方針を決めるのです。2週間すべて(の施設など)を封鎖して感染者数が減るか調べるか、あるいは、パンデミックではなく、公衆衛生上の緊急事態としてオープンな対処をするかです。おかしな政策を中途半端にやっても、何の成果も上がらないと思います」
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