「働いても食べられない」アメリカ人増える背景 成人の5人に1人が飢餓の経験を持つほどに

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フードバンクでアメリカ最大のネットワークを持ち、小規模な配給所に食料品の供給を支援するフィーディング・アメリカの調査では、同団体の参加組織の65%が5〜6月に利用者が増加したと回答した。利用者が減少したと回答した組織は5%にすぎない。

その一方で、パンデミック初期に大きな助けとなった現金での寄付は減っている。今年の第1四半期にフィーディング・アメリカの全国組織が得た収入は1億5100万ドルと、昨年の1億700万ドルから約3割減少した。

フィーディング・アメリカの最高責任者クレア・バビノー・フォンテノットは、「戦争の真っ最中なのに、戦線を離脱する人が増えている」と話す。

フィーディング・アメリカのネットワークには200のフードバンクと6万の食料配給所などが参加しているが、2〜5月の4カ月間を対象にした直近の調査では、参加フードバンクの73%が食料の寄付が減少したと回答。食料品の調達コストが上昇したという回答は94%に上り、食料品の輸送・配送費が上昇したという回答も89%に達した。

フィーディング・アメリカは2021会計年度に連邦政府の食料品支援プログラムから24.6億ポンド(約11.1億キログラム)の食料品を受け取ったが、2022会計年度の最初の9カ月間に受け取った量は11.4億ポンド(約5.1億キログラム)にとどまっているという。

今度は支える側が困窮

食料品の緊急支援システムが直面するこうした問題は、タビサズ・ウェイにもはっきりと表れている。2022年の上半期に寄付された食料品の量は、昨年同期のおよそ3分の1に減った。食料品店やレストランからの食料品の寄付は、昨年の4分の1にも届かない。現金による寄付も昨年同期の110万ドルから今年は70万ドル未満にまで減少した。

消費者が物価高に直面しているように、タビサズ・ウェイが購入する食料品の値段も上がっている。ガソリン高は足元では多少落ち着いているが、寄付された食料品を受け取りに行くときの燃料代もバカにならない。

失業率が2%に下がっているユタ州では、運転手や熟練のスタッフの賃金水準も上昇。タビサズ・ウェイで働くスタッフの平均時給は1年前には16ドルだったが、今では20ドル以上になっているそうだ。「うちのスタッフまで十分に食べられない状況にはしたくない」とオズボーンは言った。

(執筆:Lora Kelley記者、Nicholas Kulish記者)
(C)2022 The New York Times

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