岸田新体制が始動「超重量級」人事でも不安募る訳 反主流を懐柔し、安倍派も手玉にとったが…
一部側近だけの極秘シナリオに沿った電撃改造人事は、経過や結果を検証すれば「練りに練ったしたたかで巧妙な岸田流が奏功」(自民長老)したといえる。
8月5日夕の臨時役員会・総務会で党役員人事の一任を取り付けで始まった党・内閣人事は、週末も含めた3日間の党内調整を経て9日夜にはすべての人事が固まり、10日夕には新体制発足という手際のよさだった。
岸田首相(自民党総裁)は、10日午前の自民臨時総務会で新執行部の人事を決めた。麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と高木毅国会対策委員長を再任し、遠藤利明選挙対策委員長を総務会長に横すべりさせ、政調会長に萩生田光一経済産業相、選対委員長に森山裕総務会長代行を起用した。
党4役のうち3人は派閥領袖
人事のポイントとなったのは萩生田、森山両氏の党4役就任。萩生田氏は故安倍氏の最側近で岸田首相とも親しく、森山氏は菅義偉前首相や二階俊博元幹事長と盟友関係にある。しかも、萩生田氏以外の4役は派閥領袖で「超重量級の挙党態勢」(岸田派幹部)となった。
これを受けて発足した新内閣は、林芳正外相、鈴木俊一財務相、松野博一官房長官という「骨格」が留任する一方、19閣僚中14人が交代する大幅改造。ただ、重要閣僚とされる経済産業、厚生労働、防衛各相には経験者を配し、閣僚経験者の再入閣は5人。初入閣の9人は、ほとんどが各派の推薦リストを踏まえた「党内バランス優先の人事」(官邸筋)となった。
岸田首相は新内閣発足後の官邸記者会見で「有事に対応する『政策断行内閣』」とし、「経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用した」と胸を張った。ただ、閣僚の顔ぶれをみると「目玉もなく、実務優先で地味だが、要所に岸田首相の意図がにじむ人事」(自民長老)となったことは間違いない。
それを象徴したのが、最も注目された「安倍派」への対応だった。
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