新幹線、次世代の営業列車を生む「試験車」の系譜 かつての「1000形」から、最新型のALFA-Xまで

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ここではJR各社の試験車両とその功績について考えてみたい。

JR東日本952形・953形STAR21

STAR21(Superior Train for Advanced Railway toward the 21st century=21世紀に向けた先進的鉄道のための素晴らしい列車)は1992年に登場。ボギー車の952形4両と5車体連接車の953形を連結した9両編成を組んでいた。

STAR21はJR東日本の新幹線車両で初めてVVVFインバータ制御を採用した。また、車体は日本車両製造製がアルミダブルスキン構造(アルミ合金中空押出形材連続溶接構造)・日立製作所製がアルミハニカムパネル構造・川崎重工業(現・川崎車両)製がジュラルミンリベット構造を採用して比較試験を行った。当時はまだ300系にアルミシングルスキン構造の採用が始まったばかりで、その先進性がうかがえる。その他将来のスピードアップを見据えて低騒音パンタグラフ(下枠交差形)や大型のパンタグラフカバーが設置されていた。

STAR21は1993年12月21日に時速425kmの速度記録を樹立。後述するWIN350の記録を破り、初めて時速400km台の速度記録を達成した。

STAR21の技術は営業車両にも生かされている。低騒音パンタグラフはE2系0番代で実用化された。また、E2系0番代量産車のうち、日本車両が製作した編成はSTAR21が採用したアルミダブルスキン構造を採用している。実は他社製のE2系0番代量産車がアルミシングルスキン構造を採用していたため、JR東日本は公式にアナウンスをしていなかったのだが、筆者が取材した際に日本車両が明らかにした。つまり新幹線営業車のアルミダブルスキン構造は700系よりもE2系が先だったわけだ。

STAR21は1998年2月17日付で廃車。952-1が滋賀県米原市の鉄道総研風洞技術センター(以下米原風洞)で保存され、953-1・953-5が宮城県利府町の新幹線総合車両センターで保存されている。

952形はボギー車。952-1が米原風洞で保存されていて、敷地外からも見ることができる。952-1は日本車両が製造し、アルミダブルスキン構造を採用していたのが大きな特徴だ(筆者撮影)
連接車の953形は新幹線総合車両センターで保存。先頭車の953-4はジュラルミンリベット構造の車体で、平面的なくさび形の先頭部を持つ。間車の953-1はアルミハニカムパネル構造の車体となっている(筆者撮影)

JR西日本500系900番代WIN350

JR西日本は航空機に対抗するため山陽新幹線の目標最高速度を時速350kmとし、技術的な検証を行うための高速試験電車として500系900番代WIN350(West Japan Railways Innovation for the operation at 350km/h=時速350km運転のためのJR西日本の革新的な技術開発)を1992年に開発。同年8月8日に当時最速となる時速350.4kmを記録した。

形式が500系となっている通り、JR西日本としては1996年に営業車両として登場する500系開発のための試作車という位置づけとしており、車体形状はまったく異なるものの、500系に採用するための設計思想がWIN350に盛り込まれている。

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